上写真=現役を退き、ブラジルでスポーツ大臣を務めていたジーコが当時JSL2部の住友金属と契約した(写真◎サッカーマガジン)
第1回女子W杯は3戦惨敗に…
平成元年の胎動が、具体化された年だ。検討委員会が設置されていたプロリーグの開催が正式に決まり、名称を「Jリーグ」とすることが発表された。川淵三郎氏が就任した「チェアマン」の呼称も斬新で、日本サッカーの新時代の到来を感じさせた。
参加10チームが発表されると、そこにはJSLでは2部を戦う住友金属の後身となる鹿島も含まれていた。川淵氏から参加は「99.9999%不可能」と告げられていたが、企業と地域が一体となって努力し、大逆転で「オリジナル10」入りを果たした。そして同クラブには、世界のサッカーファンにその名を知られた元ブラジル代表ジーコも加わった。母国でのスポーツ担当大臣の座を辞した英雄の現役復帰には日本のみならず、世界も驚いた。
なお、この年のJSL(日本サッカーリーグ)は読売クラブが連覇を達成。天皇杯は宿敵・日産自動車に譲ったものの、JSL杯も制し、2冠を達成している。
また、高校サッカー選手権では、伝説の決勝が行なわれた。小倉隆史を擁する四日市中央工と松波正信を擁する帝京高の一戦は、四中工は山岡、小倉が1点ずつ、帝京は松波が2点を挙げて、延長まで戦ったものの決着つかず。両校優勝となった。
女子サッカーでも歴史的な大会が刻まれている。第1回FIFA女子ワールドカップがスウェーデンで開催された。日本はアメリカ、スウェーデン、ブラジルに敗れ、グループステージ最下位で敗退。ただ、この完敗がのちの強化へとつながっていった。
◆平成3年度の主なタイトル一覧
JSL:読売クラブ(第27回・91-92年)
天皇杯:日産自動車(第71回・91年度)
JSL杯:読売クラブ
JSL・MVP:カズ(読売クラブ)
JSL得点王:トニーニョ(読売クラブ)
JSL新人王:高木琢也(マツダ)
JSL優秀監督賞:ペペ(読売クラブ)
高校選手権:四日市中央工高&帝京高(第70回・91年度)
高円宮杯U-18:徳島市立高
大学選手権:早稲田大
日本女子リーグ:読売SC女子ベレーザ
平成3年度の主な出来事(1991シーズン)
・2月1日 日本サッカー協会内に2002年W杯招致委員会事務局を開設
・2月14日 プロリーグに参加する10チームが決定
・2月14日 長沼健氏、岡野俊一郎氏が藍綬褒章を受章
・3月1日 プロリーグ設立準備室開設。室長は川淵三郎
・3月31日 全日本女子選手権で日興證券が初出場・初優勝を遂げる(第12回・90年度)
・4月14日 第26回日本リーグ(JSL)1部で読売クラブが4度目の優勝(90-91年)
・5月21日 元ブラジル代表のジーコがJSL2部・住友金属と3年契約を結び、現役復帰
・6月8日 第8回アジア女子選手権で日本女子が決勝進出。第1回女子ワールドカップの出場権を獲得する
・6月9日 バルセロナ五輪・アジア1次予選、F組の日本は敵地でインドネシアに2-1で勝利
・6月9日 キリンカップで日本が初優勝を飾る。トットナム(イングランド)、バスコ・ダ・ガマ(ブラジル)、タイが参加
・6月10日 2002年W杯招致委員会を設立
・6月16日 バルセロナ五輪・アジア1次予選、F組の日本は敵地で香港に1-3で敗戦
・6月22日 第3回日本女子リーグが開幕
・6月23日 バルセロナ五輪・アジア1次予選、F組の日本は敵地で台湾に3-0で勝利
・6月29日 バルセロナ五輪・アジア1次予選、F組の日本はホームで台湾に2-0で勝利
・7月1日 プロリーグの正式名称を「日本プロサッカーリーグ」とし、通称を「Jリーグ」とすることを発表
・7月7日 バルセロナ五輪・アジア1次予選、F組の日本はホームで香港に3-0で勝利
・7月14日 バルセロナ五輪・アジア1次予選、F組の日本はホームでインドネシアに3-1で勝利し、1位で最終予選進出
・8月8日 インターハイ決勝は、清水東高と東海大一高が激突。史上初の同県勢対決は、清水東に軍配が上がる
・9月1日 第16回JSLカップは読売が優勝
・9月8日 高円宮杯(U-18)で徳島市立高が全国大会初優勝
・9月15日 第27回JSL・1部が開幕
・11月1日 社団法人「日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)」設立。川淵三郎氏が初代チェアマンに就任する
・11月17日 第1回女子ワールドカップに日本が出場。B組初戦で0-1でブラジルに敗戦
・11月19日 第1回女子ワールドカップで、日本は0-8でスウェーデンに敗戦
・11月20日 元イングランド代表のリネカーが名古屋と契約
・11月21日 第1回女子ワールドカップで、日本は0-3でアメリカに敗れ、3戦全敗で敗退
・11月24日 大学選手権は早稲田大が5年ぶり8回目の優勝
・92年1月1日 天皇杯は日産が2年ぶりに優勝(第71回・91年度)
・92年1月8日 高校選手権は決勝で四日市中央工高と帝京高が対戦。延長戦でも決着がつかず、両校優勝(第70回・91年度)