上写真=加茂周氏からオスカー氏に監督が代わっても王者の強さは変わらず。特に44得点を記録した攻撃は迫力満点だった(写真◎BBM)
日本女子リーグ初得点は高倉麻子
「平成最初の日本一」に輝いたのは、清水商高(現・清水桜が丘高=静岡)だった。「昭和63年度」の大会ではあるものの、元号が平成となった2日後、全国高校サッカー選手権決勝で市立船橋高を破り、栄冠を手にしている。清水商高のエースは三浦文丈(現SC相模原監督)、市立船橋高のエースが、野口幸司(現アローレ八王子監督)だった。
この年の4月に初優勝を飾って昭和最後の王者(88年度)となった日産自動車は、89年度の日本サッカーリーグ=JSL(シーズンは翌90年4月まで)を制し、連覇を達成。木村和司、金田喜稔、水沼貴史、柱谷幸一ら攻撃陣と、柱谷哲二、松永成立らが守備陣のバランスが取れたリーグ王者は、天皇杯、JSL杯と併せて2季連続の三冠という偉業を成し遂げた。
日本女子リーグが開幕したのも、この年だった。記念すべき第1号ゴールを決めたのが、読売ベレーザの高倉麻子。なお、令和2年の現在、なでしこジャパン(日本女子代表)の指揮官を務めている。
■平成元年の主なタイトル一覧
JSL:日産自動車(第25回・89-90年)
天皇杯:日産自動車(第69回・89年度)
JSL杯:日産自動車
JSL・MVP:木村和司(日産)
JSL得点王:レナト(日産)
JSL新人王:下川健一(古河)
優秀監督賞:オスカー(日産)
高校選手権:清水商高(第67回・88年度)
南宇和高(第68回・89年度)
全日本ユース選手権(プレ大会):清水商高
大学選手権:順天堂大
日本女子リーグ:清水FCレディース
平成元年度の主な出来事 (1989年シーズン)
・1月7日 昭和天皇の崩御により、高校選手権の準決勝が延期。新元号が「平成」に決定
・1月10日 延期された高校選手権決勝は清水商高が市立船橋高に勝利し、3年ぶりの優勝(第67回・88年度)
・2月26日 国立競技場で行なわれた第24回日本リーグ(JSL)1部・ヤマハ対日産に4万1千人(過去最多)が来場
・3月25日 全日本女子選手権はベレーザが優勝し、2連覇を達成(第10回・88年度)
・4月26日 日産のJSL・1部初優勝が決定(88年度・第24回)
・5月17日 JSLの評議会で現行のリーグを再編成、92年にプロリーグを発足させる案を承認
・5月22日 ワールドカップ・アジア地区1次予選、日本は香港と敵地で0-0の引き分け
・5月28日 ワールドカップ・アジア地区1次予選、日本はインドネシアと敵地で0-0の引き分け
・6月2日 川淵三郎氏がプロリーグ準備検討委員会委員長に就任
・6月2日 日本サッカー協会理事会で日本女子リーグの発足が正式に決定する
・6月4日 ワールドカップ・アジア地区1次予選、日本は北朝鮮にホームで2-1の勝利
・6月11日 ワールドカップ・アジア地区1次予選、日本はインドネシアにホームで5-0の勝利
・6月18日 ワールドカップ・アジア地区1次予選、日本は香港とホームで0-0の引き分け
・6月25日 ワールドカップ・アジア地区1次予選、日本は北朝鮮に敵地で0-2で敗れ、敗退が決定
・7月2日 日本サッカー協会理事会で、プロリーグ発足案を承認
・7月13日 日本サッカー協会定例理事会で、プロ準備検討委員会の設置を決定する
・7月23日 南米遠征を行なった日本代表がブラジル代表と初対戦。結果は1-0でブラジルが勝利
・8月7日 プロリーグ検討委員会の第1回会合を開催
・8月8日 インターハイ決勝が行なわれ、清水商高が大宮東高を下して2度目の優勝
・9月9日 第1回日本女子リーグが開幕。第1号ゴールを高倉麻子(ベレーザ)が決める
・9月16日 第14回JSLカップは日産が優勝
・10月7日 第25回JSL・1部が開幕
・11月26日 大学選手権は順天堂大が3年連続3回目の優勝
・11月26日 FIFAにワールドカップ開催を立候補
・12月19日 AFC女子選手権に女子日本代表が出場。グループステージは3戦全勝
・12月26日 AFC女子選手権の準決勝で台湾に敗れる(0-1)
・12月29日 AFC女子選手権の3位決定戦で香港を破り(9-0)、3位入賞
・90年1月1日 天皇杯は日産が優勝し、2連覇を達成(第69回・89年度)
・90年1月8日 高校選手権は南宇和高が初優勝(第68回・89年度)
・90年1月28日 第1回日本女子リーグが閉幕。清水FCが得失点差でベレーザを上回り、初代チャンピオンとなる(89年度)