上写真=三協フロンテア柏スタジアムの電光掲示板には「13-1」のスコアが表示される(写真◎J.LEAGUE)
■2019年11月24日 J2リーグ第42節
柏 13-1 京都
得点者:(柏)オルンガ8、瀬川祐輔、クリスティアーノ3、マテウス・サヴィオ (京)小屋松知哉
昇格PO圏入りを目指した最終節で歴史的惨敗
京都にとって、「勝たなければならない試合」(小屋松知哉)と位置付けられた最終節・柏戦。41節時点で7位だっただけに、J1昇格プレーオフ圏(6位以上)に逆転で入るためには、勝利が必須条件だった。
凱旋したホームの声援を受け、立ち上がりから一気呵成に得点を狙う柏の猛攻に遭うも、「結構、攻撃に重心を置いた中で、(試合の)入りはそこまで悪くはなかったと思うんですけれど……」と、小屋松が振り返るように、守備陣が体を張って食い止める。5分には小屋松が左サイドからカットインして、強烈なシュートを放つ。これは柏の守護神・中村航輔に阻まれた。
その1分後だった。柏のMF瀬川祐輔に敵陣からボールを運ばれ、FWオルンガにパスを送られる。次の瞬間、オルンガに左足で強烈なシュートを打たれ、ゴールネットを揺らされた。
「オルンガ選手のところを潰しきれなかったり、パスで押し込みながらやっていく中で、セカンドボールを拾われたりだとか、そこに(柏の)起点を作られてしまったことがすべてかなと思います」
この1点を皮切りに、柏のゴールラッシュが始まってしまう。前半23分からは10分間で3点を献上することとなった。
ただ、4点ビハインドの状況でも、京都の選手たちは勝利をあきらめていなかった。
「0-4になったときに、『(ここから)5点取りに行こう』という話をしていました。まだ(勝利の)チャンスはあるかなと思っていました」
「小さな差が、大きなものとなった」
取られたら、取り返す。逆転勝利のために大量得点が必要な状況だからこそ、「チームとして積み上げてきたパスサッカー」(小屋松)、攻撃的なスタイルを貫こうと試みた。38分にはその姿勢が実り、1点を返す。左サイドでMF福岡慎平、冨田康平とパスがつながれ、ゴール前で冨田からのクロスボールを受けたFW一美和成がシュート。GKに弾かれたこぼれ球を小屋松が右足で蹴り込んで、点差を3点に縮めた。
「僕自身も点を取りたかったし、そこで巻き返すことができればよかった。こちらも前半にチャンスはあったけれど、相手のほうが決定力はあった。その差というものも出たと思う。その小さな差が、大きなものとなったということですよね……」
シュート数だけを見れば、前半は柏の10本に対し、京都は7本。後半も柏に13本打たれてはいるものの、京都も9本放っている。「たられば」は禁物だが、前後半で記録した16本のシュートがもっとゴールに結びついていれば、結果はまた異なったものになっていただろう。
また、前半終了間際に大黒柱を失ったことも、チームに大きな影響を与えた。
「後半にトゥーさん(闘莉王)が抜けてしまって、(チームの)バランスが崩れたのかなとも思います。交代枠というところも含めて、辛いゲームになってしまったのかなと」
DF闘莉王がアクシデントにより、途中交代を余儀なくされた。京都は14分にもDF本多勇喜を負傷交代させているため、ハーフタイムまでに交代枠(3枠)を2枠使うこととなった。メンバー変更とともに選手の配置換えも行なわれ、スタート時の布陣で長い時間を戦えなかったことも、京都にとっては誤算となったことだろう。
決定力の差や、選手編成におけるアクシデントが重なり、1-13という歴史的スコアにつながった。敗れた京都の選手やスタッフ、ファン・サポーターは、簡単にはこの結果を受け入れることができないだろう。それでも、小屋松は突き付けられた現実と向き合う。
「これは恥ずかしい結果です。選手としては、みんなで受け止めなければいけない。0-4だろうが、1-13だろうが、負けは負け。0-4のときに“5点取りに行こう”とした姿勢が裏目に出たのかもしれない。最後はみんなが体力的なところで、あまり走れなかった部分もあるかなと思います」
J1昇格の希望を打ち砕かれた惨敗劇。この一戦で京都の今シーズンは幕を閉じた。だが、クラブとしての戦いは終わらない。1年後、J1復帰を果たして、「あの敗戦があったから」と振り返れるように――。苦い経験を糧に、京都はまた新たなシーズンへと向かっていく。
取材◎小林康幸