3位からの逆転優勝を狙う鹿島は敵地で広島を崩せず、スコアレスドローで勝ち点1にとどまった。GKクォン・スンテはピンチでの冷静なプレーで完封に貢献したものの、勝利にはつながらず。それでも試合後は自身初のJリーグ優勝に向けて、最後まで諦めない姿勢を強調した。

上写真=勝利にはつながらなかったが、安定したプレーで広島を完封したクォン・スンテ(写真◎J.LEAGUE)

■2019年11月23日 J1リーグ第32節
 広島 0-0 鹿島

「広島のサイド攻撃は分析していた」

 鹿島の大岩剛監督が試合後、「我々が勝ち切らなければいけないゲーム。最後はリスクを冒して得点を狙ったが、取り切れずにドローに終わって非常に悔しい」と振り返った一戦。この日、同時刻キックオフで戦った首位のFC東京を勝ち点3差、2位の横浜FMを2差で追う鹿島としては、まず自分たちが勝ち、上位2チームの失速に期待したいところだった。

 だが、相手を押し込みながらも決定機は少なく、無得点で引き分け。湘南と引き分けたFC東京との差は縮まらず、松本に勝って首位に浮上した横浜FMとの勝ち点差は4に広がった。残りは2試合となり、逆転優勝はさらに厳しい状況となっている。

 ただ攻撃陣がゴールをこじ開けられなかった一方で、守備陣はピンチがありながらも最後まで崩れず、特にGKクォン・スンテの安定したプレーが光った。光ったのはサイドからのボールへの対応で、前半終了間際には左CKを大きくはじき出すと、いったんポジションを取り直した後、こぼれ球を拾った広島MF青山敏弘の右からのセンタリングに再び飛び出し、FWレアンドロ・ペレイラと競り合いながらも、しっかりキャッチ。後半もセンタリングを読み切ってキャッチするなど、広島のサイドアタックを何度も無力化した。

 これらのプレーをクォン・スンテは「広島は1トップに背の高い選手がいるので、サイド攻撃は分析していた」と振り返る。無失点に抑えながらも、チームを勝利に結びつけなかったことについては「勝たなければいけない試合では、無失点に抑えることが必須になる。自分の仕事はできたが、チームが勝てなかったのは残念に思う」と静かに語った。

 2017年に鹿島に加入し、昨季はクラブ初のAFCチャンピオンズリーグ制覇に貢献しているが、自身初のJリーグ制覇には特別な思いがあるという。「優勝への思いは、これまで以上に強くなっている。韓国で優勝は何度も経験したが、日本でも優勝するという気持ちを、もっと全面に出して成し遂げたい。まだ終わってはいない」。今日と同じように最後尾からチームを支え、ホームでの神戸戦、アウェーでの名古屋戦と続く残り2試合での貢献を誓っていた。

取材◎石倉利英 写真◎J.LEAGUE

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