■2019年11月17日 キリンチャレンジカップ2019
U-22日本代表 0-2 U-22コロンビア代表
得点者:(日)なし
(コ)L・サンドバル、J・ラミレス
上写真=昨年8月のアジア競技大会以来、『現場』でU-22日本代表の指揮を執った森保監督(写真◎西田泰輔)
圧力に屈して0-2で完敗
局面では見せ場を作った。特長を示した選手もいる。久保建英のスキルフルなプレー。田中駿汰の寄せの速さと強さ。大迫敬介の安定したセービング。ただ、チームとしては、ちぐはぐなプレーが目立った。
五輪本大会に登録可能な18人という枠に残るため、選手はこれからすべての『テストマッチ』でアピールに努めなければならない。プレーする際にチームとしての目指すべき像を描きつつも、自身の持ち味を示すことを強く願うのは当然だ。そのためか独りよがりになりがちと映った。呼吸を合わせるトレーニングの時間がなかったこともあるが、代表チームでは当然のことであり、言い訳はできない。むろん、それは相手のコロンビアも同じこと。
ミスが重なり、後半47分に失点いたあと、日本は得点への意欲を見せたが、ゴールを目指す過程で連続性に乏しい点は最後まで変わらなった。攻撃のスイッチを入れる縦パスも効果的ではなく、自然、ボックス内の味方にラストパスが届かなかった。たびたび相手にパスがひっかかり、いっこうにリズムを作れないまま、59分には、カウンターから2点目を献上した。
コロンビアは前へ前へ圧力をかけることで特長を出すチームだったが、とりわけ後半は日本がビルドアップでミスしてカウンターを浴びるケースが増えた。ボールホルダーに対して周りが顔を出せず、ボールを回し淀んで後ろに下げるケースも散見。日本は、国内初試合で多くのファン・サポーターが期待した結果はもちろん、内容を示すこともできなかった。
「きょうの国内での初試合ということで、選手たちは絶対に勝って、東京五輪に期待を持っていただこうと非常にモチベーションを高く試合に臨んでくれたと思います。しかしながら素晴らしい雰囲気を作っていただいた中で、勝たなければいけないというところが逆にプレッシャーになかったのか、固い入りをしてしまって相手にペースに握られ、難しい試合になった。
先日のラグビーのワールドカップでも、日本代表の非常に経験のある皆さんたちが入りの部分で非常に勝たなければいけないというプレッシャーの中で戦っていたことをわれわれは見ていましたが、五輪本大会も同じような状況になることは十分に考えられると思います。きょうの雰囲気を作っていただいた中で、本大会は非常に難しい戦いになると、入りのところでも。もっとメンタルを強くして、われわれはアグレッシブに戦えるようにならなければいけないと、きょうは学びの場になったと思っています」
森保一監督は、まずは実力を発揮できなかったメンタル面の弱さについて言及した。さらに東京五輪世代のチームとして、堂安律と久保建英を初めて同時に組み込んだことにも触れた。
「前半はよい距離感で縦パスが入ってコンビネーションをいくつか見ることができたので、そういう部分の感覚はもってほしいと思っています。ただ、コンビネーションの部分では、きょうは相手のプレッシャーの強さもあり、なかなかスムーズにいかない部分が多かった。チームの活動が短い期間で融合していくのは簡単ではないと思いました。(五輪チームへの2人の招集について)今後については、われわれはサッカーIND(インターナショナルマッチデー)の中で活動していくことになります。ですから与えられた状況の中でベストな選択をしていきたい。コロンビアも4人のU-22世代の選手がA代表で活動しているという情報をもらっていますが、われわれのチームも、できるだけA代表で活躍できる力を持った選手が最後、五輪に出ていくというところを目指してやっていきたいと思います」
学びを次に生かせるか?
期待した結果ではなく、「学びの場」になったコロンビア戦を経て、指揮官は選手たちにこう問うたという。
「昨日の前日会見の中で、私がメディアの皆さんの前で『われわれは東京五輪で金メダルを目指して戦う』と話してきたと、選手たちに伝えました。その上で今日の試合で、われわれが何を目指しているかというところを表現していこうと話しました。
試合が終わってからも、われわれの目標が、私だけのものなのか、チームで共有しているのかということを、選手たちに話しました。選手たちも今日の敗戦は悔しいけど、東京五輪で金メダルを獲得するためにやっていくということ、力をつけていくということを話しました」
この日の戦いぶりを見る限り、目標とする金メダル獲得に向けてチームがやるべきことは多い。本大会まで残り8カ月。その間にどこまでチームは進化し、深化できるか――。
取材◎サッカーマガジン編集部 写真◎西田泰輔