水戸が前節時点で2位だった山形に勝利し、暫定ながら昇格プレーオフ圏内の6位に浮上した。前半は山形に主導権を握られ、シュート数で1本に終わる。ところが、後半に形勢逆転。58分にFW清水慎太郎が先制点を奪うと、63分にはMF木村祐志、67分には途中出場のFW小川航基にゴールが生まれた。山形の反撃をPKの1点にしのぎ切り、3試合ぶりの白星を挙げた。

古巣の激闘に刺激。「励みになりました」

 小学生の頃から札幌の育成組織で成長し、昨季期限付き移籍で水戸に加入。今季は完全移籍となり、チームの心臓部を担っている。そんな前にとって、ちょうど1週間前に埼玉スタジアムで繰り広げられた古巣の激闘は、大きな刺激となった。

「ルヴァンカップ決勝(札幌3-3PK4-5川崎F)は良い試合でした。知っている先輩や後輩が出た試合でもあったし、見ていて熱くなるものがありました。おそらく、あの試合を見た人全員もそうだったのではないかと思います。自分の育ったクラブが決勝を戦うことは感慨深かったし、励みになりましたね」

 特に、後半アディショナルタイムに札幌の同点ゴールを挙げた一学年上の先輩MF深井一希の活躍にも、気持ちが高ぶった。

「(深井は)一つ年上(の先輩)ですけれど、小学生の頃からずっと一緒にやってきたし、ケガしているところも見てきました。そこから這い上がる姿を何度も見てきたので、あの同点ゴールはうれしかったですね。高校時代から多くの(負傷)離脱期間があった選手なので、すごいと思いますよ」

 札幌はルヴァンカップ決勝で敗れて準優勝に終わった。それでも、かつてのチームメイトが大舞台で見せた堂々たるブレーは、水戸でJ1昇格を争う前自身の新たなモチベーションになった。

 クラブの悲願達成と、自身のさらなる高みを目指して――。北の大地で育まれたゲームメーカーが、青き戦士たちをけん引する。

取材◎小林康幸

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サッカーマガジン 2019年12月号


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