神戸は川崎Fに対し、前後半を通じてボール支配率では上回られたが、44分にFWダビド・ビジャが先制すると、70分にはDF大崎玲央が加点し、相手の反撃を終了間際の1点に抑えて2連勝。前線で光る動きを見せ、先制点をアシストしたFW古橋亨梧は、チーム状態の好転に確かな手応えをつかんでいる。

上写真=鮮やかなカウンターの起点となった古橋(16番)。鋭い出足で何度もスペースを突いた(写真◎J.LEAGUE)

■2019年9月28日 J1リーグ第27節
 川崎F 1-2 神戸
  得点者:(川)長谷川竜也
      (神)ビジャ、大崎玲央

「思い切って飛び出した」

 前半終了間際の44分、神戸の先制点は鮮やかなカウンターから生まれた。川崎FのMF中村憲剛が神戸陣内の深い位置で繰り出した縦パスが、守備網に引っかかった次の瞬間、古橋が右サイドのスペースへロングスプリント。ビジャからのロングパスを受けた古橋がドリブルで内側に切れ込むと、ロングパスを送った後に走り込んで左サイドでフリーとなっていたビジャが、古橋のパスから左足のダイレクトシュートでニアサイドを破った。

 スペースに抜け出した最初のシーンを、古橋は「良い形でボールを奪って、ダビ(ビジャ)が前向きだった。僕はスピードがあって裏に抜けるのが特徴なので、思い切って飛び出したら良いパスが来た」と振り返る。「抜け出した後に谷口(彰悟)選手をかわして、中に運んでシュートとパスという選択肢ができたら、ファーでダビがフリーで待っていた。決め切ってくれて感謝しています」と続けたが、古橋の見事なお膳立てがあってこそのゴールだったのは間違いない。

 65分に最終ラインの背後に抜け出してスルーパスを受け、DFを振り切って狙った右足シュートが上に外れたシーンは「あれは決めなければいけない」と反省したものの、パスを回される時間が長く続く展開の中で、試合終了間際に交代で退くまでエネルギッシュなプレーを続けた。「川崎は質が高くて、うまい選手が多いので、今日みたいな展開になると思っていた。どこかで絶対に1本(チャンスが)来るという確信があったので、前半の最後にああいう形で、カウンターで仕留められたのはよかった」と語った通り、少ないチャンスを生かしてチームを勝利に導いた。

 負傷離脱していたMFアンドレス・イニエスタが復帰し、メンバーがそろってきた中でつかんだ2連勝。「警戒される中でも何本もパスを出していた。僕らもうまくボールを運べていたので、勝ち切れてよかった」と語った古橋は、「まだ試合数は残っている。先のことは考えず、この状態を維持しながら、自分たちの質とレベルを上げていけば、もっと上に行けると思う。少しでも上を目指していきたい」と次節以降を見据えていた。

取材◎石倉利英 写真◎J.LEAGUE

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