上写真＝大会通算６ゴールを挙げ、得点王に輝いた名古屋グランパスＵ－18の倍井（写真◎サッカーマガジン）
■2019年７月31日 第43回日本クラブユース選手権（Ｕ－18）大会 決勝（40分ハーフ）
サガン鳥栖Ｕ－18 １－３ 名古屋グランパスＵ－18
得点者：（鳥）田中禅 （名）倍井謙２、榊原杏太
「やっとチームに貢献できた」
「得点王も見えていたので、昨夜からゴールを決めることをイメージして、決勝に臨みました。（得点王になることを）実現できてよかったです」
名古屋グランパスＵ－18の７番を背負う倍井謙が大会通算６ゴールを挙げ、得点王に輝いた。特に、「ちょっと堅かった部分もあったけれど、あの試合で吹っ切れた」と振り返る準々決勝・東京Ｖユース戦（○２－０）を皮切りに、頂点までのラスト３試合で５得点。勝負どころで圧巻の得点力を発揮し、チームの優勝に貢献した。
だが、ゴールの活躍とは裏腹に、「全然走れていない」、「チームに迷惑をかけている」と、試合後はいつも反省しきり。「僕の力だけで点を取れたわけじゃない」と浮かれた様子は一切なく、「みんながサポートしてくれている」と、チームメイトの存在の大きさを強調していた。
同じ左サイドでプレーする新玉瑛琉（左サイドバック）、ボランチの田邉光平は、「２人は僕のことを常に見てくれている。信頼されていると感じるし、僕の特長を分かってくれているので、うまくやれています」と話すように、倍井にとっても頼もしい存在。「今日（決勝）の２点目に関しては、サイドバックの選手（新玉）が僕に（パスを）出してくれたので、決めることができてよかった」と、アシストした新玉に感謝する。
また、大会ＭＶＰに輝いたセンターバックの牛澤健についても、「僕としては、ずっと評価されてほしいと思っていた選手です。ここまで来られたのも、健の粘り強い守備があってのこと。本当に助かっているので、健がＭＶＰを取ったのは素直にうれしい」と称賛する。
「これまでを振り返って『自分は何ができたのか』と考えたら、何もできていない」。その思いから、「得点のチャンスでは自分がしとめて、このチームを勝たせる選手になる」と、決意を固めた。そして、「チームメイトへの感謝」の思いを体現するゴールラッシュ――。
「この大会で、やっとチームに貢献できたのかなと思います」
控えめなゴールゲッターは、優勝を決めた後にちょっとだけ、自分自身を褒めた。
取材◎小林康幸
関連記事
サッカーマガジン 2019年9月号
