浦和が追いついて、ドローに持ち込んだ。1点を追う88分、山中亮輔のクロスに興梠慎三が頭で合わせて同点ゴールをマーク。大槻毅監督体制になり、リーグ戦では、いまだホーム負けなし。窮地に追い込まれたチームを救ったのは、エースの一発だった。
上写真=88分の興梠の得点で浦和は同点に追いついた(写真◎J.LEAGUE)
■2019年7月31日 J1リーグ第16節(未消化分)
浦和 1-1 鹿島
得点者:(浦)興梠慎三 (鹿)伊藤翔
いつも鹿島が相手だと気合が入るけど…(興梠)
山中の鋭くカーブしたクロスも技ありなら、ファーサイドで合わせ興梠のポジショニングとシュート技術も見事と言うほかない。マーカーの目が長身の杉本健勇に向くのを予測していた。相手DFと駆け引きすると、すっと動き出した。
「健勇の裏に入ろうと思っていた」
完璧な動き出しでフリーになると、仕上げのシュートも文句なし。狙いすましたヘディングだった。
「冷静でしたね」
一瞬、相手DFがブラインドになったものの、GKの長い手が届かないコースへきれいに流し込む。リーグの鹿島戦で点を取るのは、2015年以来4年ぶり。高卒で加入して8年間過ごした古巣から奪うゴールは、やはり格別なのだろう。
「いつも気合が入りすぎてしまうんだけど、きょうはリラックスして入れた」
今季のリーグ戦で8点目。33歳の誕生日(86年7月31日生まれ)を自らのゴールで祝い、ヒーローインタビューを受ける姿を想像していたが、引き分けでは喜びも半分。前半に2度の決定機を生かせなかったことを反省した。それでもチームとしては、確実に上向いているとの実感がある。
「きょうは鹿島相手に内容で上回っていた」
エースの言葉はただの強がりではないだろう。土壇場で追いついたのは、その証拠と言えた。
取材・文◎杉園昌之 写真◎J.LEAGUE