上写真=この日も積極果敢にゴールを目指す土居(写真◎Getty Images)
■2019年6月18日 AFCチャンピオンズリーグ・ラウンド16第1戦
鹿島 1-0 広島
得点者:(鹿)セルジーニョ
言葉には表せない、特別な感情
鹿島の攻撃を引っ張る土居聖真は、この日も果敢なドリブルからクロスを上げ、セルジーニョの決勝ゴールをお膳立て。アシストを記録し、数字としてもチームの勝利に貢献した。
90分間を戦い、もちろん疲労もあっただろう。それでも、クラブ世界一を懸けた大会の話題を振ると、声のトーンが変わった。
「聞きましたよ! もう、モチベーションでしかないです!」
鹿島とともに、過去2度参加したクラブ・ワールドカップのことだ。UAEで開催された前回大会ではレアル・マドリード(スペイン)などと対戦。「日本では対戦できないような相手と戦える。そういうチームと真剣勝負がしたいんです」と、大会に参加する意義を話していた。
「個人的にはどうしてもACLのタイトルを取りたい。そして、またクラブ・ワールドカップに出たい」
今季のACL開幕時点では、2019年のクラブ・ワールドカップ開催は決まっていなかった。だが6月3日にFIFAから、今年の大会を12月にカタールで行なわれることが発表された。もちろん、昨年までと同様にACL王者も参加資格を得る。UEFAチャンピオンズリーグを制したリバプール(イングランド)など、各大陸王者が集う。
「(各大陸王者と試合を)やりたいっすね。どことでもいいですよ。クラブ・ワールドカップに出るということが、モチベーションなので。そのためにも、(勝利に向けて良いパフォーマンスをできるように)私生活からもっと突き詰めてやりたい。それくらい、本当に楽しみなんです。(この感情は)言葉では表せない。何か(感情)が生まれてきたんですよ」
身振り手振り、感情を表現しようとする表情から、高まる高揚感のようなものは伝わってきた。しかしながら、世界一を決める大会を戦う特別な感情は、実際に出場した経験を持つ選手にしか分からないだろう。Jリーグ王者として参加した2016年大会と、アジアを制して出場権を勝ち取った昨年大会と、2回にわたって出場した土居は、自らの立ち位置をしみじみと語る。
「ACLにもこんなにたくさん出られるチームはなかなかないし、勝ち進んでいけるチームも鹿島か、どこか数チームしかない。だから、一戦一戦を大事に戦っていきたい」
常勝軍団をけん引する背番号8は、2年連続でのアジアの頂点と、3度目となる“世界王者決定戦”への出場を狙う。
取材◎小林康幸