上写真＝左サイドバックとして攻守に奮闘した東。セットプレーではキッカーも務めた（写真◎Getty Images）
■2019年５月29日 Ｕ－20ワールドカップ・グループステージ第３節
日本 ０－０ イタリア
日本は「良いチーム」
その左足が、ゴールへの起点となるはずだった。左サイドを駆け上がってはゴール前へとクロスを送り、ＣＫやＦＫといったセットプレーでも惜しいチャンスを作った。東俊希の武器をイタリア相手に見せたものの、勝利をつかむには、あと一歩及ばなかった。
「クロスとか、セットプレーとか、チャンスはあったと思うんですけれど、そこで１点も取れなかったのが悔しいですね。あとちょっとだけ、ねじ込める力がなかったのかなと。ＰＫもそうだし、セットプレーで、もっとクオリティーを上げていかなければいけない。あと、クロスの入れ方とか、（キックの）質とか。相手の守備は堅いですけれど、点を取れない試合ではなかったと思います」
そう振り返る東の表情に、笑顔はない。「突破できたので、次の試合に向けて、良い準備をするだけですかね」と前を向くも、「（グループ）１位での突破を狙っていたので、本当に勝とうと思っていた。でも、引き分けてしまい悔しい」と、唇を噛んだ。
勝利して、グループを首位通過する目標は達成できなかったものの、この日の相手はイタリアだ。世界屈指の強国を相手に、ボールを支配し、何度もゴールへと迫り、守備では無失点に抑えた。しかも、日本もグループステージ突破は果たしている。
それでも、東が満足できないのは、影山雅永監督が率いるチームの強さを実感しているからだろう。「日本（チーム）としても、個人としても、やれる実感はあります。オフのときでも雰囲気が良いし、とても良いチームだと思っています」と、手ごたえをつかんでいる。
グループステージ３戦を振り返れば、南米王者エクアドル、メキシコ、イタリアと同居したにもかかわらず、１勝２分けと無敗で乗り切った。４ゴールを奪い、失点も初戦のオウンゴール一つのみ。東が言うように、日本は「良いチーム」となった。
「日本の粘り強さや、体力は、海外のチームよりもあるのかなと。（決勝トーナメントでは）たとえ点を取れなくても失点しなければ、延長に入ってもしっかりチームワークで戦える。粘り強く、焦らずにやりたいなと思っています」
３試合でつかんだ自信と、イタリア戦で勝ち切れなかった悔しさを胸に、日本の左の翼はさらなる高みを目指す。
取材◎小林康幸
