上写真=昨季はリーグ戦29試合に出場し、今季は第5節で初出場となった松原(写真◎J.LEAGUE)
■2019年3月29日 J1リーグ第5節
横浜FM 0-0 鳥栖
イメージできていたシュート
昨季はリーグ戦29試合に出場したが、今季開幕から2試合はベンチに甘んじた。さらには練習中に負傷し、右腸腰筋肉離れで全治3週間と診断された松原健が、ようやく今季初のピッチに立った。
譲り渡していた右サイドバックのポジションに戻ってきた松原は、攻撃的なチームの流れにしっかり乗っていた。左サイドバックの広瀬陸斗が“左からのクロスにファーサイドで走り込む”場面もあった横浜FMで、負けじと前へ出る。
昨季と同様、中央にも入り、裏やスペースへの縦パスも狙う。守備への切り替えも素早く、激しく鋭いタックルでボールを取り返してもいた。さらには73分、CKの流れからエリア内に入り込み、タイミングをうまくずらしてシュートを放つが、この一撃はポストを叩いた。
松原は42分にも、惜しいシュートを放っている。ゴール斜め右、エリアに入った辺りからの一撃は低く鋭く飛んだが、鳥栖GK大久保択生の好セーブに阻まれた。
終わってみれば、松原のシュートは4本。エジガル・ジュニオと並んで、両チームを合わせても最多タイのシュートを放った。
「みんなから遅れて、ようやく開幕できたと思います」
松原は、口元を引き締めつつ、少し安どしたように語った。だが、あくまで気持ちは緩めない。
「僕たちだったら、もっと攻撃できたのかなと思いますし、もっとできると思っています」。
自主練習でシュートにも取り組み、73分の場面では決めるイメージまでできていたという。それでも、「シュートは枠に飛ばさないと何も可能性がなくなってしまう」と結果にこだわる。
シュートを放つところまで、しかも複数回いけているが、簡単に良しとはしない。必死さを後押しする思いがある。
「(シュートまで持ち込めて)ポジティブにはとらえていますけど、勝つためには点数が必要なので。そこで満足するだけだと、それまでの選手になってしまう。自分は開幕からスタメンを奪われた形だし、次に試合に出るためには、結果というものが今年は非常に重要になってきます」
その飢えこそが、成長をさらに加速させる。
取材◎杉山孝