上写真=センターバックの一角を務めた高卒ルーキーの関川 写真◎サッカーマガジン

 2月1日、キャンプ最終日を迎えた鹿島は、大宮とのトレーニングマッチ(45分×3本)で4-2と勝利を収めた。1、2本目に出場したDF関川郁万や、3本目でゴールを決めたFW有馬幸太郎、それをお膳立てしたDF佐々木翔悟(ともに鹿島ユース出身)といった1年目の選手が躍動。横浜FMから加入したFW伊藤翔にもゴールが生まれた。(その他の得点者は、鹿島はセルジーニョと土居聖真、大宮は嶋田慎太郎とファンマ)

「目の前にチャンスがあったから、アピールしようと」

 昨年末、守備の要だった昌子源がフランス・トゥールーズへと移籍し、コンビを組んでいたチョン・スンヒョンは韓国代表としてアジアカップを戦っていたため、いまだ合流していない。キャンプでは、昨季の両レギュラーCBを欠くうえ、定位置を争う犬飼智也と町田浩樹もケガや体調不良により、大宮とのトレーニングマッチ出場を回避した。そんな中、ルーキーが堂々たるパフォーマンスを見せる。

「目の前にチャンスがあったから、アピールしようと思って、ただひたすらに自分のプレーをすることを考えていた。(プロ入り後)初めての90分できつかったけれど、楽しかったです」。関川郁万は充実した表情を浮かべた。

「まだ2回しか(CBコンビを)組んだことがない」(関川)というブエノ(今季、徳島から復帰)とも良い連係を見せ、ピンチを防ぐ場面もあった。「(ブエノは)声を出してくれて、うまくコミュニケーションを取ってくれるからやりやすい」と、手応えもつかんでいる。

 現役時代はCBだった大岩剛監督も「素晴らしいポテンシャルを示している」と、その活躍ぶりを称賛する。

 関川は昨年、今年と、2年連続で流通経済大柏を全国高校選手権決勝へ導いた“超高校級センターバック”。高校時代から無失点へのこだわりは人一倍に強く、この日も「最後の最後で失点したことは、自分自身にとっても、チームにとっても課題」と、2本目のアディショナルタイムに失点したことを悔やんだ。

 対人の強さも然ることながら、空中戦には絶対の自信を持つ。守備の局面だけでなく、セットプレーなど攻撃時でも同様だ。この日、ゴールネットこそ揺らせなかったが、「うまく(相手の)マークを外せている。あとはボールが来れば大丈夫」と、良い感触を得ていた。それだけに、豪快なヘディングシュートをプロの世界でお披露目する日は近いかもしれない。

 Jリーグ開幕前にACLプレーオフを戦う鹿島に残された準備期間は、あと2週間半。果たして、今季の公式戦の幕が上がる瞬間に、深紅の33番はピッチ上に立っているだろうか――。2006年の内田篤人以来となる大抜擢への期待も高まる。

取材◎小林康幸


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