上写真=他会場の経過と戦況を踏まえて巧みにマネジメントし、勝ち点1を獲得したロティーナ監督
東京ヴェルディはJ2優勝を狙う町田ゼルビアのホームに乗り込み、最終戦を戦った。前半はコンパクトな陣形でプレスをかける相手にペースを握られたが、後半になると、ボールを動かし、チャンスをつかむ。そして76分には先制に成功。だが、残り15分あまりの時間を逃げ切ることはできず、82分にセットプレーの流れから追いつかれてしまう。ただ、その後は同点ゴールで勢いに乗る相手をいなし、勝ち点1を積み上げてプレーオフ進出を決めた。
■2018年11月17日 J2リーグ第42節
町田 1-1 東京V
得点者:(町)大谷尚輝
(東)林陵平
苦しい状況でのタスククリア
プロフェッショナル然とした様子で、ロティーナ監督は表情を変えずに試合を振り返った。
町田のプレスを嫌い、サイドへの展開やロングボールで、相手との駆け引きを続けた。ハーフタイムを挟むと、「やるべきことをやろうと強調した」。ボールを動かすテンポが上がり、チャンスも増えていった。そして82分、大きなサイドチェンジから1タッチパスでつなぎ、林陵平が見事にループシュートを決めた。
決して簡単な試合ではなかった。「前節が終わった後から問題があった」というドウグラス・ヴィエイラら、メンバーに入れられない選手が数名いた。プレーオフ進出へ勝ち点が欲しい状況だが、無理をして黒星を喫することは避けたかった。そんな状況で幸先良く先制したものの、「カウンターから(追加点を)取れるのではないかと思っていた」という目論見は外れてしまう。逆に試合終了間際になって相手にセットプレーから同点ゴールを許してしまった。
対戦相手の町田・相馬直樹監督が他会場の結果を耳に入れなかったのとは対照的に、ロティーナ監督は情報を仕入れて戦況を分析し続けていた。「引き分けでもプレーオフに行けると分かっていたが、他会場で1点が入れば順位が変わるということで、勝ちにいきながらもカウンターを受けないようにというナーバスな状況だった」とゲームマネジメントに心を砕いたことを明かした。
追いついて勢いに乗る町田を、交代枠を1つ残しつつ冷静に跳ね返す。その結果が7位福岡と勝ち点1差での、2年連続のプレーオフ進出だった。
昨季は複数の主力選手を、さらに今季途中にもレギュラーを移籍で手放しながらも、結果を出した。ただし6位というギリギリの通過で、緊張感を伴う試合を、あと3つも乗り越えなければならない。
プレーオフ初戦の大宮戦は、相手の順位が上のため、敵地に乗り込み、勝利を持ち帰るしか次のラウンドに進む道はない。難しい状況は続くが、「われわれにとってのアドバンテージというのは、アウェーで戦わなければいけないし、勝たなければいけないということ。相手のホームで勝てば大成功になる。その気持ちを持って臨みたい」とロティーナ監督。目標にたどり着くまで、スペイン人指揮官は表情を緩めない。
取材◎杉山孝 写真◎J.LEAGUE PHOTOS