上写真=森保一監督(左)と釜本邦茂さん(右)/写真◎近藤俊哉
10月21日に都内のホテルで開催された『アステカの奇跡から東京へ~メキシコオリンピック50周年記念パーティー』に出席した東京五輪代表&日本代表の森保一監督は、日本サッカー界のレジェンドであるメキシコ五輪の銅メダリストたちから激励を受けた。自国開催の東京五輪を2年に控え、同パーティーに出席して決意を新たにしたという指揮官の言葉をここ紹介したい。
五輪と縁がある
パーティーの途中でメキシコ五輪得点王の釜本邦成さんの紹介を受け、挨拶に立った森保監督は、「日本のサッカーの発展を、つないでいけるように頑張っていきたいと思っております。メキシコ五輪で銅メダルを取られた方々、諸先輩方の成功のヒントを今日、いただいて、これから東京五輪に向けて、頑張ってまいります。東京五輪ではみなさんが期待していただいてるように、われわれは金メダルを獲得しようと、いま頑張っています。みなさんが見守っておられる日本のサッカーを、これからも発展させることができるように、頑張ってまいりたいと思いますので、今後ともご支援、応援のほど、よろしくお願いします」と決意を表明した。
指揮官が言う「成功のヒント」とは何を指すのか。パーティー終了後にあらためて聞いた。
「今日のパーティ―で流れたVTRでも最初に杉山さんが言っていた『ファミリー』という言葉、そして釜本さんが言った『使命感』という言葉がヒントだと感じました。われわれも、まずチームと一丸となって個の力をチームとして発揮していくファミリーになれるように、選手もスタッフも応援して下さる方も一緒に戦っていただけるようにしていきたいと思います。
そして使命感については、本当に期待されていることは分かっているので。プレッシャーを、われわれも力に変えて金メダルを獲得したいと思っています。選手たちも常に金メダルという言葉を言ってくれていますし、その目標に向かっていけるように、より厳しく、使命感をもってやっていきたいと思います」
50年前にメダルを獲得して以来、日本男子はサッカー競技でメダルを獲得できていない。偉業を成し遂げたレジェンドを前に、金メダルを獲得すると口にすることも勇気のいることではなかったか。
「プレッシャーはすでにあるので。銅メダルを取るということも、簡単なことではないですし、素晴らしいことです。ただ、日本で開催されるオリンピックですし、それ以上のものを、という思いで自分の覚悟と決意表明として、あの場で話させていただきました」
決意と覚悟を示す場として、森保監督にとっては最高の舞台だったかもしれない。指揮官が「金メダル獲得できるように頑張ります」と話した瞬間、約300名の関係者で埋まった会場は、大きな拍手に包まれた。
「実は挨拶で言おうと思ったんですけど、メキシコ五輪は僕が生まれた年(1968年)にあったんです。だから自分は勝手にですが、オリンピックに縁があると思っていますし、使命感を持ってやるんだと勝手につなげて思っています」
五輪と縁がある指揮官ーー。レジェンドたちもその手腕には大いに期待を寄せている。
「(銅メダリストのみなさんに)直近のA代表の試合、ウルグアイ戦について、『ああいう試合を続けていってくれ』と言っていただきました。『頑張ってほしい』と。『試合は見ていて楽しかったし、期待できた』ということも言っていただきました。ただ、まだまだA代表の活動は3試合しかしていないですし、あらためて、これからさらに気を引き締めてやっていかないといけないな、と思いました」
今回のパーティ―はメキシコ五輪から50年という節目を祝う趣旨で開催されたが、同時に「アステカの奇跡から東京へ」というメッセージも込められていた。そのことについて森保監督は「色んな先輩方がこれまでつないでいただいた、その歴史を、アステカの奇跡から50年とありまけども、アステカの奇跡を東京につなげていけるようにしたいと思っています。メキシコ五輪から50年を祝う会ではありますけど、東京五輪に向けて、われわれが励ましていただいた、エールをいただいたと思っています。すごいありがたいですし、温かかかった」と話している。
レジェンドとの邂逅で森保監督は重要なものを受け取った。それは東京五輪で日本が結果を出すために、そして日本サッカーをつないでいくために、必要な儀式だったように思えた。
取材◎佐藤 景 写真◎近藤俊哉