■2018年5月5日 J1リーグ第13節
川崎F 0-2 FC東京
得点者:(F)橋本拳人、森重真人
FC東京が快勝し、5戦負けなし。分厚い守備ブロックは最後まで崩れなかった。序盤、14分に太田宏介の鋭いFKを橋本拳人が合わせて先制ゴール。後半もペースは変わらず、堅守から速攻でチャンスをつくった。69分には再び太田のFKから森重真人が追加点を挙げた。川崎Fはホーム2連敗。相手の堅い守備に手を焼き続け、2戦連続無得点で終えた。
「合わせてくれてサンキュー」
FC東京のセットプレー2発で勝負は決まった。太田宏介の左足から放たれる鋭くカーブするボールは、川崎Fの守備陣をあざ笑うかのようだった。誰にも邪魔にされずにレシーバの足にぴたりと届き、次の瞬間ゴールに変わった。
「僕のキックの弾道は、中で合わせるのは簡単ではないと思う。(味方が)うまく駆け引きして、オフサイドにならないように飛び出してくれた。僕からすれば、合わせてくれた選手にサンキューと言いたい」
14分に相手の最終ラインと入れ替わるように飛び出した橋本が左足でゴールへ流し込み、69分には森重が左足でネットを揺らした。
今季、5試合目の先発出場。厳しいレギュラー争いを強いられているが、この日は長谷川健太監督の期待にしっかり応えてみせた。試合前からセットプレーがカギになることをミーティングで伝えられ、集中力を高めていた。
指揮官は今季、川崎Fはセットプレーから6失点を喫していることが頭にあった。相手が連戦でメンバーを入れ替え、セットプレーの守備まで確認できないことも折り込み済みだった。
ただ、策士の「策」もキッカーあってのこと。ゴールに向かっていく太田の弾道にしてやられた川崎Fの奈良竜樹は「2点とも同じような形でやられた。なんで、あんなにフリーになるんだろう」と首をかしげるしかなかった。
「多摩川クラシコ」の主役となった上機嫌のレフティーは、ワールドカップ日本代表メンバー入りにも色気を出していた。
「(代表に)呼んでください、選んでください。いいキッカーがいますよ」
満面の笑みを浮かべながら、言葉を弾ませた。15年8月以来、代表からは遠ざかっているが、最後の最後まであきらめていない。
取材◎杉園昌之、写真◎J.LEAGUE PHOTOS