広島が接戦を制し、敵地で柏を破った。序盤からボールを保持して柏陣内に攻め入ると、17分に右サイドバックの和田拓也が右サイドからクロスを上げる。ファーサイドに流れたこぼれ球を左サイドバックの佐々木翔が拾い、ゴールへ蹴り込んで先制点を奪った。後半は柏に主導権を握られ、75分にはPKを献上するも、クリスティアーノのキックをGK林卓人が左手で止め、ゴールを許さず。1点を守り切り、引き分けを挟んで5連勝を果たした。

■2018年4月8日 J1リーグ第6節
柏 0-1 広島
得点者:(柏)なし
    (広)佐々木 翔

首位快走にも危機感「いつ負けて、連敗するか、わからない」

かつて日立台(三協フロンテア柏スタジアム)を沸かせた男が、紫紺のユニフォームに身を包んで帰ってきた。
「不思議な感覚はありましたね」と、感慨深さを胸に抱きつつも、「第一DFとして守備のスイッチを入れる。FWとしてゴールを取らなければならないけれど、今は守備面に比重を置くことでチームがうまく回っている」と、広島の勝利のために自身のタスクを遂行した。

守備での貢献も然ることながら、17分には相手の最終ラインの間に一瞬空いたスペースを見逃さず、右サイドの柴﨑晃誠からパスを呼び込んだ。中央でタメを作ると、再び右サイドへボールを送り、走り込んだ和田拓也のクロスから先制ゴールが生まれた。
「サイドでボールを握ることは、練習のなかでも取り組んでいるところ。そこの連動性は、今日の得点シーンで見せられたんじゃないかなと思う」と、満足気に振り返る。

このゴールが決勝点となり、チームは無傷で首位を守った。それでも、課題はまだまだ山積しているという。
「(試合ごとに)課題や細かいミスは確実にある。(今日は)最後、『相手にボールを持たせて守り切る』というようなメンタルになってしまったと思う。もちろん、残り時間を考えれば、守り切ることは大事。ただ、そのなかで訪れるカウンターのシーンで、何人の選手が(前へ)出ていけるか。そこはこだわってやっていきたい。もっともっと後ろから選手を出していって、最後に仕留めるくらいの気持ちでいいと思う」と、反省点も口にする。

「残りの試合はまだたくさんある」と、今の成績を楽観視してはいられない。かつて柏でJ2降格とJ1優勝を味わい、昨季は広島で苦しいシーズンを送った。工藤壮人の言葉には、さまざまな経験に裏打ちされた重みがある。

「いつ負けて、そこから連敗し始めるか、(先のことは)わからない。昨季の厳しさや悔しさも(経験として)あるので、常に危機感を持ってやっていかなければならない」

躍進するチームを最前線で引っ張る工藤の目は、すでに次の戦いを見据えていた。

 
文◎小林康幸 写真◎J.LEAGUE PHOTOS
 


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