■2018年3月11日 J1リーグ第3節
湘南 0-0 名古屋
昇格組同士の一戦はスコアレスドロー。名古屋の連勝は2でストップした。前半は自陣でのボールロストが多く、再三ピンチを迎えた。後半途中からはボールを支配し、ガブリエル・シャビエル、青木亮太を中心にゴールに迫るが、相手の約2倍となる計11本のシュートも得点には結びつかなかった。湘南は終盤、しぶとく守り抜いた。
素顔はあどけない高校生
17歳とは思えない落ち着きぶりだった。名古屋のCB菅原由勢は、湘南の猛烈なプレスを受けても慌てず、突進してくる相手を軽くいなすと、前線の選手に縦パスをぴたりと付けていた。
「相手が前からプレスに来るのは分かっていたので。後半はうまく外せたと思う」
試合後、多くの報道陣に囲まれても、おどおどする素振りもない。堂々とした口ぶりでゲームを振り返り、時折笑顔も見せながら応対していた。
ブラジル人のCBホーシャがケガで途中交代し、急きょ櫛引一紀と組んでも安定した守備が乱れなかった。冷静にラインをコントロールし、何度も相手のFWイ・ジョンヒョプらをオフサイドにかけた。くさびのボールに対しては厳しく当たって対応。勝ち点3を取れなかったことを悔んだが、守備には手応えを得ていた。
「無失点に抑え、負けなかったことは収穫だと思う」
それでも、現状には満足していない。試合のたびに自らのプレーを反省し、日々課題と向き合っているという。J1では通算3試合目。高校2年生で2種登録選手され、J1のピッチに立っているが、プロの舞台で戦う自覚は強く持っている。
「(引き分けも)前向きに捉えたい」と表情を引き締める。
昨年までは名古屋U-18の一員としてプレー。同年12月にはプレミアリーグ昇格を果たして大喜びしていたが、いまは立場が違う。
「自分が(トップチームの)中心としてやっていくくらいの気持ちでやらないといけない」
顔にはあどけなさが残るものの、言葉には責任感がにじむ。
すぐに次節の川崎F戦(3月18日)に向けて、準備が始まる。ユニフォームを脱ぐと、高校2年生には別の仕事も待っている。
「あすはテストなんです。学生の使命なので」
ふと17歳の顔ものぞかせ、笑顔で話す余裕もある。忙しい生活をどこか楽しんでいるようだった。
文◎杉園昌之 写真◎J.LEAGUE PHOTOS