■2018年3月7日 AFCチャンピオンズリーグ第3節:グループF
川崎F 2-2 メルボルン・ビクトリー
得点者:(川)エウシーニョ、登里享平
    (メ)OG、レロイ・ジョージ

3月7日、AFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)のグループステージ第3節が行われ、日本勢では鹿島がアウェーでシドニーFCに快勝(2-0)。グループHの首位をキープした。一方、ホームにメルボルン・ビクトリーを迎えた川崎Fは今季のACL初勝利を目指すも引き分け、グループFの最下位脱出はならなかった。

パスワークはJ王者が上

ボールを大事にするスタイルは両チームに共通していた。後方からでもパスをしっかりつなぎ、相手ゴールを目指す。ビルドアップの局面で攻め手に詰まれば、すぐさま作り直し、別のルートをを探していくのもまた、同じ。

ただし、志向スタイルは似ていても、その完成度には差があった。ボール回しに関してはJ王者の方が上回る。密集も相手のプレスも怖がらず、リズムよくパスをつなぎ、相手を押し込んでいく。28分には、攻め上がっていたエウシーニョがエリア付近にこぼれてきたボールを左足ダイレクトで叩き、ネットを揺らして先制に成功した。

ところが8分後、CKの流れから不運にも失点してしまう。オウンゴールでゲームを振り出しに戻してしまった。

「集中力を切らしてしまった」。この日、左サイドハーフで先発した登里はそう振り返った。そして前半の展開が、後半にも起こってしまう。

攻撃に手ごたえも勝ち切れない

後半、川崎Fはより効果的に、より効率的にボールを走らせた。

「自分たちのやろうとしていることはできている。得点シーンも、チームがやろうとしていることはできていた。Jリーグの試合もよくなってきていましたし、今日もみんなで意思統一しながらできて、どんどんよくなっていっていると思います」

トップ下でプレーした家長昭博は攻撃面の手ごたえを口にし、先制ゴールを挙げたエウシーニョも「今日のゲームに関しては自分たちのスタイル、リズムでしっかりコントロールできたと思う」と話した。

メルボルンが「中で作って外」と狙いがやや一辺倒となったのとは対照的に、「中、外、中」「中、中、中」「外、中、外」と攻め手のバリエーションで川崎Fは勝る。55分にはエウシーニョ、大島僚太、小林悠、登里とつないで2点目を挙げ、今季のACL初勝利をグッと引き寄せた。

だが、前半同様に相手の同点劇を許してしまう。2点目を手にし、その後の攻勢だった時間帯にネットを揺らせなかったのは痛かった。鬼木達監督は試合後に「判断とシュートの質」を改善点に挙げたが、好機を迎えながら、相手を突き離すことができなかった。

迎えたアディショナルタイム。CBの奈良竜樹が途中出場のメルボルンの俊英、18歳のクリスティアン・テオハルスをエリア内で倒し、PKを献上してしまう。これをレロイ・ジョージに決められ、土壇場で追いつかれてしまった。

「攻撃での手ごたえがあるんですけど、でも勝ち切れないというのは、甘さだったり弱さだったりがあるということなので。非常に悔しいです。(リードを奪ってから)守備で押しこまれてはいましたけど、嫌なところに(ボールを)上げてこられたり、崩されるシーンはなった。ある程度余裕はあったんですけど、最後でペナルティーエリアに侵入された。あの前にもうちょっとどうにかできたと思います。僕自身も、中に入られたというのがあるので。油断はしていなかったですけど、もうちょっとどうにかできたんじゃないかなって自分自身では思います」(家長昭博)

悔やんでも悔やみきれない失点――。2試合を消化し、未勝利で迎えたこの試合。勝ち点3を得るのと、勝ち点1を得るのでは大きく違う。決勝トーナメントに進むのは、かなり難しい状況となった。

「最後に自分たちが歓喜を味わえる瞬間を逃してしまい、残念な結果になってしまいました。自分たちがやっていることは間違っていないと思いますし、スタイルは今日も出せているので、他会場等の結果次第になってしまいますが、まず自分たちがしっかり勝って、次のステージへと進めるように、努力していきたいと思います」

先制点を挙げたエウシーニョはそう言って、残り試合に全力を注ぐと誓った。川崎Fの次戦は13日。アウェーで再びメルボルンと対戦する。望みをつなげるためにも、勝つしかない。

■グループF/勝ち点(勝-分-負)得失点
1位 上海上港 7(2-1-0)4
2位 蔚山現代 5(1-2-0)1
3位 メルボルン・V  2(0-2-1)-3
4位 川崎F    1(0-1-2)-2
※3節終了時点

取材◎佐藤景 写真◎Getty images


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