変幻自在のプレースタイル
今年度の清水ユースを牽引していたのは、正真正銘の〝サッカー小僧〟だった。
「小学生のときは、学校が終わるといつも校庭でサッカーをして、帰ったらバルセロナとかチェルシーとか、海外の試合を見ていた」。そんな幼少時代の習慣が、滝の成長の原点になっているのかもしれない。
一番の特長は、「たぶんドリブル」だと言う。だが、そのプレースタイルは変幻自在。「エスパルスだったら白崎(凌兵)くん、海外だったらネイマール選手(パリSG)を参考にしている。ドリブルもしつつ、ラストパスも出せるような選手になりたい」と話すように、一つのプレーに固執することはない。「相手のゴール前でどれだけ怖い選手になれるか」を意識し、状況に応じてドリブルやパス、さらには味方を生かすためのおとりの動きも見せる。平岡宏章監督も「攻撃の起点。頼れる存在」と、信頼を置く。
キャプテンとしての役割も心得ている。「チームを鼓舞したり、戦う姿勢を見せたりするところは成長したと思う。やってよかった」と、今では手ごたえを感じている。
「最初は(チームが)バラバラだった」と、数カ月前の苦悩も振り返る。順風満帆な船出ではなかったが、そんななかで行なわれた海外遠征が、光明を見いだすきっかけとなった。
「それから、みんながコミュニケーション取るようになり、練習も激しくなった。一番成長した部分だと思う」
チーム力はさらに高まり、高円宮杯プレミアリーグEASTでは開幕から6戦無敗を記録するなど、スタートダッシュに成功。最終盤まで優勝争いを繰り広げた。
「厳しい戦いになると思うけれど、優勝したい。頂点に立ったら見える景色は違うはず。一度頂点に立って、そこからまたレベルアップしたい。そして、優勝を置き土産にして、トップチームへ上がりたい」
結果的にその思いは叶わなかった。高円宮杯プレミアリーグEASTでは、優勝したFC東京U-18に勝ち点2及ばず、惜しくも2位に終わった。目標達成はならなかったが、悔しさをさらなる成長の糧とし、プロ選手としての道を歩む。
滝 裕太 [MF/清水エスパルスユース/3年]
たき・ゆうた/1999年8月29日生まれ、静岡県出身。小学生のときは長伏SSS、FCアスルクラロ沼津に所属し、エスパルススクールでも技術を磨いた。その後、清水JYに加入し、ユースチームへ昇格。2018年シーズンからプロ選手として、トップチームでプレーする。167cm、56kg