ポテンシャルを感じている
1月13日、FC東京は東京・調布にある『イオンシネマ・シアタス調布』で新体制発表会を開催した。クラブ創設20周年となる節目の年に指揮を託された長谷川監督は、きっぱり言い切った。
「非常にポテンシャルがあって、可能性があるクラブに呼んでいただいたと思って感謝しています。みなさんの期待に応えられるように選手、クラブが一丸となって、タイトルを取るために戦っていきたいと思っています。そしてシーズン終盤に、サポーターのみなさんと喜びを分かち合えるシーズンにしていきたいと思います」
そのための陣容はそろっているというのが、新指揮官の考えだ。
「(4日間)練習してみて、少し大人しいかなという印象はあります。非常に才能があるのに、何かこう開花しきれないというか。それが居心地の良いチームということなのかどうかのかは分かりませんが、もっといろんな意味で貪欲にトレーニングの中でも競争心をもってできれば、日本代表に選ばれたり、海外に挑戦する選手も出てくるのかなと。非常にポテンシャルを感じています」
チーム内の競争力を高めることで大人しさは払しょくされ、そしてポテンシャルの高さを生かすことができれば、FC東京は必ず上に行ける――。その手ごたえを、わずかな練習期間でも感じたという。
新体制発表会が行なわれたこの日は、ファン・サポーターが見学可能な『始動日』でもあった。大勢が見守る中、午前10時からの1時間半のトレーニングで汗を流した選手会長の吉本一謙は新監督の印象を聞かれ、「しっかりと規律を求めている思いますし、チームとしてまとまる部分を大事にしている」とコメントした。
チームのまとまり、すなわち「一体感」の欠如は、大金直樹社長が昨シーズン低迷した理由として挙げているチームの問題点だ。長谷川監督も、すでにその重要性を選手に強調しているのだろう。さらに、数字上からもチームの改善点について次のように指揮官は指摘している。
「(外から見ていたFC東京は)基本的に守備の強いチームという印象でした。なので対戦するときにはどうやってその守備を崩すかを考えていました。ただ、昨シーズンは37点しか取れていない。まだ具体的な数字は選手たちには話していないですが、やっぱり50点以上取っていかないと優勝に絡んでいけないと思っています。攻撃陣にタレントはいると思っていますんで、彼らの特長を生かしながら、50点以上という数字はクリアしていきたいと思います。(そのためには)どんな(選手の)組み合わせでやるのかだと思っています。個性豊かな選手がいますし、似たような選手は少ないと思います。スピード豊かな選手もいれば、ポストプレーに長けた選手もいる。中盤にはテクニックのある選手もいる。DFにはセットプレーに強い選手もいる。そういうすべての特長を生かして、そういう数字をクリアしなければ、タイトルには手が届かないと思っています」
堅守という長所をブラッシュアップし、何より足りなかった得点力を向上させる。やるべきことはすでに指揮官の中で整理されていた。
チームは14日に沖縄・国頭に移動し、22日まで1次キャンプを実施。27日には「日本インドネシア国交樹立60周年記念 2018 Jリーグ アジアチャレンジinインドネシア」に参加し、インドネシア・ジャカルタでバヤンカラFCと対戦する。そして帰国後の1月31日から2月10日まで再び沖縄・糸満で2次キャンプを張り、リーグ開幕に向けた準備を進めることになる。
「清水時代も初年度から優勝だ、優勝だと言ってやっていました。東京でも(同じ)。そこを目指さない限りはすべてが変わっていかないと思いますから。1年目からそこを目指してやっていきたい」
動き出した長谷川トーキョー。節目の年に、大願成就となるか。
取材◎佐藤 景 写真◎山口高明