上を目指してチャレンジする
市立船橋のキャプテンを務める杉山が、来季からは千葉の一員になる。高校年代屈指のレフティーは、幼少のころから目標としていたJリーグへの扉を開けた。
当初は、高校卒業後は大学進学を志望していた。それだけに、千葉からのオファーを受けても、加入を決めるのに即決はできなかったという。「プロという目標は、サッカーをやり始めた頃からずっと持っていた。でも、もともと大学にも行きたいと思っていた。大学で4年間頑張ってからプロに行くという選択肢もあった」と、考えを明かす。
そんな杉山の気持ちを変えたきっかけは、高円宮杯プレミアリーグEASTでの苦しい戦いの日々だった。
「自分がやらなくてはいけないという自覚は生まれていて、やろうとはしている。でも、まだ(チームを)引っ張っていける力がない。自分がチームを好転させる力がないぶん、どんどん悪い方向に行ってしまっている」
市立船橋は最下位にまで低迷し、前半戦は残留争いを余儀なくされていた。後半戦は本来の強さを取り戻して、最終的には10チーム中7位でシーズンを終えたが、チームが低調なときは、その責任をキャプテンである杉山が人一倍に感じていた。
「たとえば1失点した後に、逆転できる力だったり、そういうメンタリティーを持てていない。(チームが)苦しいときに自分が良い方向へ転換してあげられればいいけれど、まだ勝てるメンタリティーがないのかな。現状は自分がチームを引っ張っていける状況にはなっていないし、勝たせることができていないので、まだまだ……」と、10節で鹿島ユースに敗れた後も(●0-2)、肩を落とした。
そういった自身に対する無力感が、プロへの思いを強くした。
「(先輩の)杉岡(大暉=現湘南)さんや原(輝綺=現新潟)さん、高(宇洋=現G大阪)さんが抜けて、(チームを)引っ張っていく立場になって、自分の課題が見えてきた。成長するためには、やはりプロになって、一つ上のレベルを見ていくことが大事なのかなと思う。今季を戦っていくうちに、プロになりたい、という気持ちが増してきた」と、自身の成長へ決意をあらためた。
「(千葉への加入内定により)注目度は増すし、自分がやらなければいけない仕事も増えると思う。それを良いほうにとらえて、与えられた課題をこなしていければ、自然と力はついてくる。イチフナの選手である以上、上を目指さなければいけない。ジェフからチャレンジする機会を与えられたので、いま行くべきなのかな、と思った」
伝統校を牽引する誇りと使命を胸に、杉山は新たなステージに挑む。
杉山弾斗 [DF/市立船橋高校/3年]
すぎやま・だんと/1999年5月20日生まれ、FC東京U-15むさし出身。U-19日本代表としてトゥーロン国際大会にも参加。精度の高い左足のキックを武器に、攻守に躍動する左サイドバック。ジェフユナイテッド千葉加入内定。178cm、65kg