昨年度から名門・市立船橋のゴールマウスを守る最後の砦。
3年生となった今季、新たに芽生えた自覚と目標を口にする。

画像: 昨年度から名門・市立船橋のゴールマウスを守る最後の砦。 3年生となった今季、新たに芽生えた自覚と目標を口にする。

先輩を追い、代表を目指す常勝軍団イチフナの壁

7節を終えて勝利なしの最下位。市立船橋はもがいていた。そんな苦境からチームを救ったのは、最後尾に君臨する長谷川だった。

8節の京都U-18戦。後半にPKのピンチが訪れた。それでも、「迫力というか、気持ちの面で相手より勝ることを考えていました」と、気迫でストップし、歓喜の雄叫びを上げた。その後もゴールネットを揺らされることはなく、完封。待望の今季初勝利を手に入れた。

「イチフナは、決して負けてはいけないチーム」と、伝統校の主力が負う責務を自覚している。それだけに、結果へのこだわりは人一倍強い。「GKが失点しなければ、最低でも勝ち点1は積み上げられる。その『1』を大事にしていきたい」と、自らのパフォーマンスが結果に直結することも認識する。

「原(輝綺=現新潟)さんや杉岡(大暉=現湘南)さんら、先輩に助けられる部分がありました」。昨年度は下級生ゆえの未熟さも痛感した。だが、最上級生となった今年度は「(GKの)自分が守りの中心にならなければいけないという思いがある」と気合いも十分だ。「(キャプテンの)杉山(弾斗)とは、自分たちでチームを良くしていこうと、よく話し合っている」と、チームを引っ張っていくことにも努めている。

意識の変化は、チーム内でのものだけにとどまらない。昨年度、目の前でともに戦っていた原と杉岡がU-20ワールドカップの舞台に立ったことにも、大きな刺激を受けた。
「2人は憧れの先輩ですけれど、自分も昨年度までは一緒にプレーしていた選手として、代表を狙いたい」と、新たな目標を抱いた。

実際に、市立船橋が戦うプレミアリーグEASTには、代表でも活躍するGKがそろっている。「京都U-18の若原(智哉)選手や、柏U-18の猿田(遥己)選手と対戦するときは、学ぶことが多い」と、世代屈指の実力者たちを参考にもしている。同時に、「ファインセーブも多いし、GKから(試合のリズムを)発信していく能力は、自分よりも高い」と、能力の差も感じ取っている。

代表選手になるためには、「今は全部足りない。基本的なベースとか、何もかも上げていかないと」と、まだまだ実力不足であることを噛みしめている。8節の京都U-18戦でも代表スタッフが視察に訪れるなど、アピールの場は十分にあるだけに、「結果を出すことが大事です」と、自らを奮い立たせる。

「責任感を持って、GKの自分が勝たせるゲームを作っていきたい」。伝統校を牽引する自覚と代表への目標を胸に、イチフナゴールを守り続ける。
 

(取材・構成◎小林康幸/サッカーマガジン編集部)
 

Profile◎はせがわ・りょう/1999年4月21日生まれ、順蹴フットボールアカデミー出身。昨年度は2年生ながらレギュラーの座をつかんだ。長身も魅力のひとつ。191cm、70kg
 

※サッカーマガジン9月号掲載の高校支局を再構成し掲載しています。


This article is a sponsored article by
''.