画像: ハルムスタッドのテクニカルディレクターを務めていたヨンソン新監督。24年ぶりに古巣に『復帰』する

ハルムスタッドのテクニカルディレクターを務めていたヨンソン新監督。24年ぶりに古巣に『復帰』する

今季開幕から不振が続き、J2降格の危機に瀕しているサンフレッチェ広島は、7月4日に森保一監督が退任し、1週間後の11日にヤン・ヨンソン新監督の就任が発表された。7月下旬から指揮を執るスウェーデン出身の新指揮官は、かつてコーチ・選手として広島に在籍したOBでもあるが、果たしてどんな人物なのだろう

文◎石倉利英

当時の総監督・今西氏いわく「オープンな性格」

シーズン折り返しの第17節終了時点で2勝4分け11敗、J2降格圏内の17位に沈んでいた広島は、第17節終了3日後の7月4日に森保一監督の退任を発表。第18節、横浜F・マリノスとのアウェーゲームで、横内昭展ヘッドコーチが暫定監督として指揮を執って1-1で引き分けた後、11日にヤン・ヨンソン監督の就任が発表された。

ヨンソン新監督は1960年5月24日生まれ、スウェーデン出身の57歳。現役時代は母国のハルムスタッドでプレーしたのち、Jリーグ開幕初年度の93年に広島でプレーしており、森保前監督とはチームメイトだった。一時帰国後の95年からは、当時JFLのヴィッセル神戸でもプレーしている。

ここで興味深いのは、日本の2クラブで最初はコーチを務めていたのに、シーズン途中に現役復帰して選手登録していること。当時は177センチ・75キロのMFで、93年に広島でJリーグ6試合に出場、1得点を挙げており、95年にも神戸でシーズン途中に選手登録している。

93年当時の広島の総監督で、強化責任者だった今西和男氏は、ヨンソンコーチの選手登録を「(スチュアート・)バクスター監督の希望だった」と振り返る。92年から3年間、広島の監督を務め、94年にはサントリーシリーズ優勝&チャンピオンシップ出場に導いたイングランド出身のバクスター監督は、来日前にハルムスタッドで監督を務めていた。今西氏によれば「バクスター監督は、ヨンソンの選手登録を希望する理由を『自分のサッカーを理解しているから』と言っていた」という。ちなみにプレースタイルは「スピードがあるわけではないし、守備のリーダーというわけでもない。中盤で献身的に働く『働き蜂』タイプ」(今西氏)だった。

その後、母国スウェーデンやノルウェーのクラブの監督を務め、今年はハルムスタッドのテクニカルディレクター兼アカデミーディレクターを務めていたヨンソン新監督。クラブを通じて「自分を育ててくれたサンフレッチェ広島、そしてJリーグへの復帰は、大変名誉なことであり、光栄に思っております」と感謝し、今後に向けて「置かれている状況が非常に厳しいことは理解していますが、コーチングスタッフや選手たちとともに、本来あるべき方向へと向かうため、より深く掘り下げて準備をしていきたいと思っています」とコメントしている。

今西氏は、ヨンソン新監督の93年当時の人物像について「オープンな性格で、外国人ということを感じさせなかった。日本人でも、誰でも受け入れる素養があった」と語っており、周囲と積極的にコミュニケーションを取るタイプだと推察できる。一方、すでに日本を離れて20年が経過しており、現在のJリーグで相応の手腕を発揮できるかは、早期の立て直しが必要な状況では不安材料の一つと言えそうだ。

ヨンソン新監督は7月18日から練習に合流し、26日にFC東京とアウェーで対戦するルヴァンカップ・プレーオフ第2戦が初陣となる予定。さらに30日の第19節・ホームでの鳥栖戦からの16試合でJ1残留を目指す中で、広島のサッカーがどのように変化していくのか注目される。


画像: 93年に広島のチーム事情により、コーチから急きょ選手登録されると、6試合に出場。1得点を記録している

93年に広島のチーム事情により、コーチから急きょ選手登録されると、6試合に出場。1得点を記録している


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