上写真=先制弾の田中幹大(9)を中心に勝利を喜んだ(写真◎小山真司)
■FUJI XEROX SUPER CUP 2021 「NEXT GENERATION MATCH」
川崎フロンターレU-18 2-1 日本高校サッカー選抜
得点:(川)田中幹大、大関友翔
(日)安斎颯馬
※40分ハーフ
〈川崎F U-18〉
GK青山海、DF高畠捷、高井幸大、浅岡飛夢、松長根悠仁、MF田中慶汰、田鎖勇作、田中幹大、入江流星(67分、五木田季晋)、FW大関友翔(67分、秋葉拡人)、五十嵐太陽
〈日本高校選抜〉
GK熊倉匠(山梨学院)、DF内田陽介(青森山田)、一瀬大寿(山梨学院)、井上太聖(堀越)、小澤亮太(昌平)→41分、木内拓海(市立船橋)、MF川上航立(帝京長岡)→72分、永吉飛翔(神村学園)、宇野禅斗(青森山田)、新井爽太(山梨学院)→41分、野田武瑠(山梨学院)、吉田陣平(佐賀東)→41分、青木俊輔(東福岡)、FW崎山友太(米子北)→41分、福田師王(神村学園)、安斎颯馬(青森山田)
「ボールを受けなければうまくならない」
右サイドをワンツーで抜け出して、追走する相手を左腕で巧みにブロックしながら右足を一閃。24分(40分ハーフ)、川崎フロンターレU-18の田中幹大が日本高校サッカー選抜から鮮やかに先制ゴールを奪ってみせた。
「ゴールシーンは、相手が寄せてきたので、振り抜けば誰かが決めてくれると思って思い切り振りました。股下を狙って入って良かったです」
高校選手権で山梨学院の優勝の立役者になったGK熊倉匠の股の間を抜く、気持ちのいい一発だった。
「自分たちが練習でやっていることを全部出そうと思って臨みました。前半はボール回しがうまくできて、自分がきっかけとなってゴールが決まって良かったです」
「チームとして自由に動き回って、フォワードがボランチのところに入ったり、サイドハーフがフォワードになったりしていって、崩しのワンツーや3人目の動きは他のチームより多くの時間を割いて練習しています」
トップチームに刺激を受けて積み上げていった技術で、高校選抜のプレスを巧みにかわしつつ前進していった。後半開始直後に同点とされたが、右サイド深くのハイプレスから強奪した大関友翔が角度のないところから流し込んだ45分の勝ち越しゴールで勝利を収めた。
だが、満足はできない。「日頃からトップチームに近づこうと、一人ひとりの能力を上げようと取り組んでいます」という目標がある。昇格を目指す川崎Fのトップチームは、絶対王者として君臨するレベルの高さだ。そこで活躍する将来像から逆算すれば、課題は山積している。
「後半は何本もチャンスがあって、厳しい中で決めるのが大事なのに、1点しか決めきれませんでした。自分と向き合って練習して改善していきたい」
そこで基準を示してくれるのが、引退したばかりの中村憲剛の存在だ。U-18の練習や試合も見てくれて、アドバイスをもらったという。
「中村憲剛さんが来てくれて、細かい指導もしてもらっているので、今後、トップに近づき、抜いていけるようにしたいと思います。憲剛さんは、出す人のことを考えたり、動き出しの部分を教えてくれました。今日の試合でもそれらを出せたかなと思います」
現役時代にはその中村とともにプレーしたU-18の長橋康弘監督も、「憲剛効果」を実感する。
「(中村憲剛が)引退されて、トレーニングにも何回か来てもらっています。憲剛さんからの言葉を聞いた選手たちはみるみる成長しています。練習やゲームを見てもらって、とにかくボールを受けなければうまくならないとアドバイスされました。怖がらず、トップのようなサッカーでは表現する一人ひとりの技術は触らないことにはうまくならないと言ってくれました。すると選手たちは怖がらず、積極的に受けるようになった。大きな変化を感じています。時間のあるときには、また来てほしいですね」
受け継がれたのは技術だけではない。田中は力を込めて口にした。
「一つひとつのプレーにサッカー人生をかけることが将来につながっていきます」
その精神性もしっかりと川崎フロンターレというクラブに根を下ろしているようだ。
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