Uー20ワールドカップで日本代表は2試合を終えて1勝1敗、グループCの2位につける。日本時間、明日28日の早朝に行われるイスラエル戦に引き分け以上の結果なら決勝トーナメント進出の可能性は高いが、相手はUー19欧州選手権の準優勝チーム。決して簡単な試合ではないだろう。キャプテンの松木玖生は前節コロンビア戦の逆転負け、PK失敗からすでに気持ちを切り替え、運命の一戦に集中している。

上写真=イスラエル戦に向けたトレーニングを行う松木玖生(写真◎飯尾篤史)

結果でチームを助けたい

 決勝ゴールを叩き込んだU-20ワールドカップ初戦のセネガル戦のあと、キャプテンの松木玖生は「大舞台に強いのが自分」と胸を張った。

 青森山田高1年次の選手権準決勝の帝京長岡戦や3年次の選手権決勝の大津高戦、あるいは21年のU23アジアカップ予選初戦のカンボジア戦や今年3月のU20アジアカップのサウジアラビア戦……と、ここ一番でゴールネットを何度も揺らしてきた。

 だが、明日に控えるイスラエルとの第3戦で問われるのは、もうひとつの顔ーー逆境に強い松木玖生だ。

 第2戦のコロンビアに敗れ、連勝で決勝トーナメント進出を決めることはできなかった。次戦は引き分けでも突破できる可能性が高いとはいえ、苦しい状況に追い込まれたとも言える。松木自身はそのコロンビア戦でPKを失敗し、苦い思いを味わった。

 果たして、どんな心境でイスラエル戦を迎え、どんなメンタリティで臨むのか。

「たぶん昔の自分だったら、『自分が、自分が』っていうふうになると思うんですけど、それでうまくいかない経験もしているので。だからイスラエル戦では周りに生かされつつ、自分も周りを生かしていけるようなプレーをしたい」

 あくまでも平常心でーー。キャプテンとしてチームメイトに求めるのも、普段通りのプレーだという。

「普段と変わらない試合運びをしたいと思いますし、チームメイトにも『焦ることなく自分たちらしいサッカーをすれば絶対に勝てる』と伝えていきたいと思います」

 フィジカルやスピードに長けていたセネガルやコロンビアと異なり、イスラエルはビルドアップを大事にする、いわば日本と似たようなチーム。相手の特長はすでに分析済み。松木の頭の中にはイスラエル戦の試合展開と、攻略のイメージが描かれていた。

「自陣からつないでくるチームなので、自分たちとしては前でうまく引っかけてショートカウンターを狙いたい。後半に失速する傾向も見えたので、最後まで得点を狙い続けることを意識したいと思いますね。イスラエルの試合を見ると、日本が90分しっかりとボールを握られそうな感じがするので、そういうサッカーを求めたい。個人的には先制点が取れるかどうかと、前後半の立ち上がりが重要だと思っています。せっかく先制しても後半15分でゴールを許すと相手に勢いを与えてしまう。だから、前後半の入りはしっかり締めたいと思います」

 試合のすう勢を読み、プレーとコーチングでチームを引き締られることこそ、松木がキャプテンであるゆえん。そして言うまでもなく、期待に応えられる男でもある。

「自分自身、結果をすごく求められていると思うんで、そこでチームを助けたいという思いもあります」

 毎試合ゴールを決めることがモットー。そうサラリと言ってのけるエースが若き日本代表を決勝トーナメントへと連れていく。

取材・文◎飯尾篤史


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