上写真=U-19アジア選手権とU-16アジア選手権の中止が発表された(写真◎Getty Images)
世界大会に続き、アジアの大会も中止
昨年末にFIFA主催大会のU-20ワールドカップとU-17ワールドカップの中止が決まっていたが、AFC主催のU-19、U-16選手権の中止も決まった。該当する世代の選手たちにとっては目指してきた国際大会がなくなったことになる。やり切れない結果となった。
U-20日本代表を率いる影山雅永監督は、以下のようにコメントを発表した。
「目指していたステージが一つなくなりましたが、選手たちも私も気持ちを切り替えて、成長を続けて行かなければいけません。若い選手の強化・育成はここで止まる訳にはいかないと感じています。個人的にはU-20ワールドカップという素晴らしい大会で、あの場でしか得られない国際経験を選手たちに体験して貰えないことは悔しく思います。ただ、選手にとってもっと重要な事はU-20ワールドカップに出場することではなく、今後SAMURAI BLUEとして、そして世界で通用する選手として「個人昇格」を果たすことです。選手たちには前だけを向いて走り続け、より高い目標に突き進んでほしいと思います。このような難しい状況だからこそ我々もそういった選手たちの背中を押せるよう、技術委員会を中心に最善のプランを模索しながら、成長できる環境を継続して提供していくことが義務だと感じています」
以下のU-17日本代表の森山佳郎監督のコメントにも悔しさと選手たちの成長を願う気持ちが表れている。
「AFCU-16選手権を連覇し、アジアチャンピオンとしてFIFA U-17ワールドカップでベスト4以上を目指すという目標を掲げてこれまで活動してきただけに、選手たちも我々スタッフも非常に残念な気持ちです。ただ、日本のみならず世界的に新型コロナウイルス感染が増え続けている状況を考慮すると仕方のないことと思います。若い選手には大きな未来があります。今までの代表活動で培ったものを忘れずに、高い意識を保ち続け、自分を最大限に高める努力を続けていって欲しいと思っています。育成年代の強化はこの国のサッカーの未来そのものであり、決して足踏みは許されないと思っています。今後の強化策や活動方針については、これから議論されていくことになると思いますが、ぶれることなく各年代の強化を図っていかなければならないことは明らかです。我々スタッフ一同、これからも育成年代のレベルアップのために、より一層尽力していきたいと思っています」
2021年は日本サッカー界にとって節目の年にあたる。日本サッカー協会(JFA)が創立100周年を迎え、1年延期された東京五輪が開催予定で(7/21~8/6)、秋にはWEリーグも開幕。『強い日本を世界に発信する』という決意のもと、国際大会でも好成績を収め、日本サッカーを世界にアピールするはずだった。
しかし、U-20ワールドカップ(5/20~6/13・@インドネシア)とU-17ワールドカップ(10月・@ペルー)の中止が決まり、AFC主催大会の中止も決定。フットサルのアジア選手権(@クウェート)とビーチサッカーのアジアカップ(@タイ)も取り止めになった。
今回の決定を受けて、反町康治技術委員長は「FIFAに続き、AFCの国際大会も中止となってしまったことは残念に思います。しかし、いままさに伸びようとしている選手たちの成長の芽を伸ばし続けることがJFAの役目だとも感じています。歩みをとめることなく、対象年代を含む若い世代の強化を継続し、選手たちを次のステージへとつなげていきたいと思います。JFAは若い選手たちが今のこの状況を悲観することなく、未来の目標に向かって進み続けられる施策を打ち続けていきたいと思います」とコメント。それでも日本サッカーの歩みを止めないと強調した。
日本代表(A代表)は3月25日にW杯アジア2次予選のミャンマー戦(日産スタジアム)を控え、東京五輪世代のU-24代表は、26日に東京スタジアム、29日に北九州スタジアムで国際親善試合を予定している。だが、依然として新型コロナウイルスの収束は見えず、現状のままでは開催そのものも危ぶまれる状況だ。新規入国制限が継続されれば、国内で国際試合を開催することも、かつ日本から世界に出て行って戦うことも難しい。3月開催の代表戦も、現状では困難と言わざるを得ないだろう。
なお、北澤豪フットサル委員長、ブルーノ・ガルシア フットサル日本代表監督、茂怜羅オズ・ビーチサッカー日本代表監督コメントのコメントは以下の通り。
「AFCフットサル選手権、AFCビーチサッカー選手権の中止を受けて、各代表チームとして最善の準備を進めてきたので大変残念です。しかし、この状況を受けてフットサル界・ビーチサッカー界のモチベーションが下がることはあってはならないと思います。FIFAフットサルワールドカップ、FIFAビーチサッカーワールドカップの出場に向けてブルーノ監督・オズ監督と今後も全力で準備を進めていきたいと思います。応援してくださっているファン・サポーターのみなさんにとっても今回の大会中止決定は大変残念なことだと思います。またフットサル界においては度重なるAFCフットサル選手権の延期に伴い国内リーグ・国内大会の関係者のみなさんに多くのサポートを頂きましたがこういった結果になってしまったことを大変申し訳なく思います。残念ながらコロナウイルスによるこういった影響はこの先も続くかと思いますが、皆さんと共に同じ目標に向かって前進したいと考えてますので引き続き応援をよろしくお願いします」(北澤フットサル委員長)
「目標のワールドカップ出場をかけたこの大会が中止となったことは残念の一言です。前回大会は準優勝でしたが、そこからさらに積み上げて力をつけ、個人的にもAFCフットサル選手権優勝を大きなモチベーションの一つとして準備を続けていました。応援し、楽しみにして下さっていた皆さんも残念に思われていることと思います。しかし、まだ私たちの目標への歩みは続きます。ワールドカップに出場することとなった暁には、そこで最高のパフォーマンスを発揮して皆さんが誇れる姿を示せるよう、そしてそのための準備の道のりも楽しみながら進んでいきたいと思います」(ブルーノ・ガルシア監督)
「アジアで行われる試合がもともと少ない中、貴重な大会が中止となってしまい残念な気持ちでいっぱいです。前回優勝した大会でもあり、代表メンバー全員が連覇を目指し、昨年から合宿を頑張っていました。合宿での練習の成果を試す場が次いつになるか分かりませんが、いつ大会が開催されてもいいよう、今まで通りモチベーションを落とす事なく、集中して練習に励んでいきたいと思っております。この状況、時間をネガティブに捉えるのではなく、大会までの準備期間が増え、更に日本代表を強化していくことができる時間と前向きに考え、選手と共に頑張っていきます。そしていつも応援してくださる皆さんと共に、この状況を乗り越えていきたいと思います」(茂怜羅オズ監督)