復帰へ準備を進める遠藤航も「薫は調子良さそうですね

3月4日のアーセナル戦以来の先発で躍動した三笘薫(写真◎Getty Images)
自らも、後半には2度ゴールに迫った。グロスのパスから、ボックス内での2タッチ目で左足シュートに持ち込んだのは54分。ファーポストの外へと転がった1本は、当人が手袋をした両手で顔を覆ったように、三笘の技術を持ってすれば枠内に飛ばしているべきではあった。
その1つ前のプレーでは、相手選手2人を引きつけてから、右足アウトサイドでカディオグルへのパスを試みていた。先立つ3分間には、中盤で敵のゴールキックをヘディングではね返したり、アタッキングサードでカディオグルとパスを交わしたりする姿も見られた。ハーフタイムを境に、チェルシーは、システムを基本の4バックに戻し、アレハンドロ・ガルナチョを左ウイングに投入していたのだが、対するブライトンでは、左ウインガーが自軍の優勢維持に一役も二役も買っていた。
三笘が、ボックス内で魅せたのは62分。拾ったクリアボールを巧みに浮かせ、詰め寄ろうとした相手ウインガーのペドロ・ネトをいなすと、落ちてきたボールを再びティーアップして右足でボレーを放った。惜しくも枠外となったが、敵の自身を喪失させた瞬間だった。
他にも、カットインから、余裕を持って中央へと流れ、味方につなぐ場面も見られた。ドリブル巧者に、敵のプレッシャーは思いの外に弱かったのではないかと尋ねてみると、こう返ってきた。
「攻撃が得意な(相手)選手は、そういうところはあるので逆に(自分には)チャンス。でも、サイドバックの選手はなかなか攻略もできなかったので、チームに助けられた感じですね」
己には厳しいが、他の選手にはオブラートに包んだ発言で気を遣う、三笘らしい発言だろう。対峙した右SBはマロ・ギュストだが、例えば、妙技を披露した1分前には、守備で戻った自軍ボックス内から、ギュストを軽くかわしてハーフウェーライン付近までボールを運び、追ってきたギュストに苦し紛れのファウルを強いてFKを奪っていた。
ブライトンが、後半アディショナルタイムに3点差とする9分前にお役御免となったこの日は、3月初旬以来の先発。だが、シュートやパスの判断を含めて、調子は良好と見受けられた。前節で途中出場後の交代を招いた、脚の痙攣も問題なし。試合後の三笘が、「チャンスをやり切れるかというところで、なかなかやり切れていないところも多かった」と反省していたのは、約2カ月半の欠場を余儀なくされた左足首のケガから復帰し、1カ月半の時間が経った1月末の第24節エバートン戦だ(1—1)。チームとしても13位に落ちていた当時とは、心身両面で復調具合が違っている。
ただし、そこは三笘だ。現在の調子を尋ねると、「いや、まだまだですね。もうちょい上げないと、と思いながらやっていました」とのこと。しかしながら、「まあ、もうちょい上げられると思うので、(W杯まで)残り2カ月弱、そっちに持っていかないといけないですね」と、続けてもくれた。
そんな三笘の様子に、「薫は調子良さそうで良かったです」と言っていたのは、リバプールの遠藤航。2カ月前に左足の手術を受け、リハビリに励む日本代表キャプテン自身も、時を前後して屋外でのメニューをこなし始め、W杯に照準を合わせた復帰への歩みを順調に進めている。
代表でのひのき舞台へと続くシーズンの大詰め、クラブでもキーマンの三笘が本来の姿に戻り、ブライトンが欧州出場権を取り戻すフィナーレが期待できそうだ。
取材・文◎山中忍
