上写真=アディショナルタイムに奇跡の残留を導く勝ち越しゴールを決めた遠藤航(写真◎Getty Images)
信じられない奇跡のドラマ
前半12分にカライジッチが決めてシュツットガルトが先制。しかし59分にモデストに決められて1-1のまま試合は終盤を迎えていた。
85分を過ぎ、他会場で行われている2位ドルトムントが15位ヘルタ・ベルリンに勝ち越して、16位のシュツットガルトがケルン(7位)に勝てば、勝ち点33でヘルタと並び、得失点差で上回って15位に浮上。シュツットガルトが自動残留できる状況となった。
表示されたアディショナルタイムは4分。そして90+2分に劇的な展開が訪れる。左のCKを得たシュツットガルトはGKミュラーもゴール前に上がって勝ち越しを目指した
キッカーのマルムシュによってニアサイドに送られたボールに伊藤が反応。フリックでファーサイドへ流すと、相手と競り合いながら体を投げ出すように頭から一人の選手が飛び込んだ。キャプテンマークを腕に巻き、苦しいシーズンを戦ってきた遠藤だった。
勝ち越しゴールが決まった瞬間、メルセデスベンツ・アレーナが今季一番の熱狂に包まれたのは言うまでもない。試合はそのまま2-1で終了。自動残留を果たすには他力の要素が多分にあったが、その条件がすべてそろって、シュツットガルトは1部残留を決めた。
この日のシュツットガルトは試合開始から気迫のこもったプレーを見せていた。PK失敗やGKのハンブルが絡んでの失点など、苦しい場面があっても、最後まで勝利を目指す姿勢を貫いた。その中心となってプレーしていたのが遠藤あり、伊藤だった。遠藤は積極的にゴールを狙い、伊藤は相手の決定的なシュートを身を挺して防いだ。そして最後の最後に、伊藤がつなぎ、遠藤が決めた勝ち越しゴールが生まれた。
この日の奇跡の残留ドラマは、おそらく長く語り継がれていくだろう。そのラストシーンで、2人の日本人選手が輝いた。クラブの歴史にも、サポーターの心にもその名は深く刻まれたはずだ。