U23日本代表はAFC U23アジアカップの準決勝でU23イラク代表と対戦し、2−0で快勝。パリ五輪出場を決めた。勝利を手繰り寄せた細谷真大と荒木遼太郎のゴールをいずれも藤田譲瑠チマがアシストしたもの。大一番でキャプテンが圧倒的な存在感を示した。

上写真=準決勝のイラク戦で攻守両面で圧倒的な存在感を示した藤田譲瑠チマ(写真◎Getty Images)

技術の高さを見せつけたボールさばき

 広い視野、高い技術、そして素晴らしい判断だった。相手最終ラインでマークに付くDFと駆け引きする細谷の姿を、敵陣中央でボールをキープしていた藤田はとらえていた。

「真大があの動き出しをするのは見ていたので、自分にチャンスがあったら狙おうと思っていたので。うまくパスが出せてよかった」

 マークを外してラインの裏へ走り出した細谷に浮き球パスをピタリと届けた。細谷は見事なトラップから反転して張り付くDFをかわし、右足でボールをゴールへと流し込んだ。2人の発想が見事に結びつき、高い技術が発揮された結果、生まれた先制点だった。

 2点目もまた藤田のパスから生まれた。左サイドで大畑歩夢が粘ってボールをキープし、低く鋭いパスを中央に送った。バイタルエリアに入り込んでいた藤田は、左前方で動き出す荒木の姿をとらえ、ダイレクトでボックス内にボールを送る判断を下す。ゴールに向かって走る荒木に、正確に届けた。

「荒木がいい動き出しをしてくれたので、自分はただ(ボールを)落とすだけだった」

 大畑からのパスがスピードもあり、技術がなければうまく処理できなかったはずだ。しかも、ダイレクトで荒木に出す判断が効いていた。トラップしていれば相手DFに準備する時間を与えていたからだ。

 中央にいた藤田を視界にとらえ、速いボールを送った大畑。そのボールの生かして正確に荒木に出した藤田。そして受けたボールを巧みにコントロールしてゴールに変えた荒木。素晴らしいコンビネーションによって追加点は生まれたが、藤田はこの試合で記録された2ゴールをアシストしたことになる。

 前半は相手が5−4−1のブロックを敷いていたため、アンカーのポジションでプレーした藤田はフリーでボールを持てる機会が多く、攻撃面で巧みな配球も含め、圧倒的な存在感を示した。そして後半途中からは相手が形を変え、攻勢に出る中で再三にわたって攻撃の芽を摘み取り、さらに日本が攻めに転じる際には落ち着いたプレーでプレスを剥がしてみせた。

 その存在感は圧倒的で、チームを落ち着かせるプレーはまさにキャプテンにふさわしいものだった。

 試合後、藤田は大会前から繰り返している言葉を、改めて口にした。

「オリンピック出場権獲得は、自分たちにとって最低限の目標だったので、それを達成できてうれしく思います。でも、自分が狙っているのはアジアの頂点なので、次もしっかり勝てるように、いい準備できたらいいと思います。
(決勝は)いつも通り、自分たちは全力でプレーして、試合をコントロールできるように、アグレッシブにサッカーができたらと思っています」

 見据えるのは、アジアの頂点。文字通りの『アジア代表』として、パリへ向かうつもりだ。


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