上写真=日本時間22日、22時からグループ1位の座をかけて、日本は韓国と対戦する(写真◎Getty Images)
復帰の濃厚の半田陸「負けられない」
U-23日本代表は決戦前日の21日にトレーニングを実施。その前日、つまり第2戦(UAE戦)翌日の20日はトレーニングを取りやめてオフに充てた。「こちらにきて2週間経ちますので、そういう意味でも少しリフレッシュをして、気持ちを新たに」(大岩剛監督)という狙いで、ノックアウトステージを見据えながら、いったんギアを少し落とす形の調整となっている。
前日練習も短めに切り上げており、疲労を溜めないことを重視して、コンディショニングを続けている印象だ。また、2試合連続でフル出場となったDF関根大輝はこの日の練習参加自体を回避。ホテルで調整メニューをこなし、回復に努めた。
気になる選手起用だが、ここまで出番の少なかった選手たちにチャンスが回ってきそうだ。関根の欠場が濃厚な右サイドバックにはDF半田陸の復帰が濃厚。出遅れて別メニュー調整が続いていたが、当初から韓国戦での復帰を企図していた節もあり、本人のやる気も十分だ。
「ここまで自分のコンディションを良くすることに集中してきた。その間にセキ(関根)がめっちゃいいプレーをしているんで、ウズウズしているし、燃えている」
サイドをシンプルに突いてくるプレーが韓国の特長となるが、半田は「そこでやられているようでは話にならない」ともコメントした上で、こう語る。
「今までの試合とは強度もまるで違ってくると思いますし、技術的にもすべてが違う試合になると思います。僕らもグループ突破は決まっていますけど、絶対に負けられない試合になると思っている」
相手は大会で1、2を争う実力国。単に韓国だからというだけではなく、3位決定戦や決勝戦での“再戦”の可能性もあるだけに、ここでまず叩いて心理面での優位性も取っておきたいところではある。
韓国キラー、内野航太郎「ハットトリックを狙っていきたい」
その上でキーマンとなりそうなのは、FW内野航太郎(筑波大)だ。昨年秋のアジア競技大会では決勝の韓国戦で先制点を奪い、3月のデンソーカップ日韓大学定期戦では2ゴールを記録している“韓国キラー”だ。
「韓国の選手ってどちらかというとフィジカルに自信を持っていて、前に強い。前に強いからこそ前に出たがるし、自分の蒔いた動きの餌みたいなのに食い付いてくる。そこが刺さるのかなと思います。まず1点ですけど、ハットトリックを狙っていきたいです」
ガツガツ来るスタイルの韓国DFの逆を取っていくことによって、ゴール前で出し抜きたい考えだ。
日韓戦ということで特別な注目度も出てくるが、もう一つ少し変わったシチュエーションで迎える試合ともなる。
ここまでグループステージ2試合を終え、日本と韓国は共に2勝、得点3の失点0とまったく同じ数字を残してきた。このため、大会規定によりグループステージ最終戦が引き分けになった場合、PK戦が実施されるのだ。
アジアカップなどにも同様の規定はあるが、実際にそうなった大会はまれだ。大岩監督が「レギュレーションについては理解していたが、少し不思議な感じ」と語ったように、今回はかなりのレアケース。まずは「90分間で勝利を収めることにフォーカスしたい」(大岩監督)としつつも、PK戦についての準備も進めている。
「あえて言わなくても、選手たちは意識せざる得ない相手との試合ですし、その中でいつも言いますけど、『我々のやるべきことをしっかりとピッチの上でやる』ということ。それが大事になる」(大岩監督)
勝てば準々決勝の相手はインドネシア、負ければ開催国のカタールが相手となる。カタールは2試合で突破を決め、3試合目は主力を温存済みということもあり、やはり勝って突破を決めたいところ。伝統の日韓戦を制し、さらにパリへの切符に迫りたい。
取材・文◎川端暁彦