上写真=23日の練習では雨の中、フルメニューをこなした荒木遼太郎(写真◎佐藤景)
23日の練習はすべてのメニューを消化
パリ五輪を目指すチームが立ち上がったのは2022年3月のドバイカップだった。荒木遼太郎は同大会に名を連ねていた。
2021年シーズン、鹿島で10ゴール7アシストと活躍。ベストヤングプレーヤー賞にも選ばれ、その勢いを駆ってパリ五輪を目指すチームに加わった。だが、そこからキャリアは暗転する。2022シーズンは1得点、そして23年は無得点。所属クラブで思うように結果を出せず、代表からも遠ざることになった。
五輪イヤーを迎え、荒木は心機一転、鹿島からFC東京への期限付き移籍を決断。果たして新シーズンは開幕から絶好調で、4戦4発と結果を出した。その結果、この3月シリーズで2年ぶりに代表に復帰することになった。
合宿の序盤は体調不良によりトレーニングに参加できなかったが、U23マリ代表戦の翌日、京都から北九州に移動して行われた練習ではフルメニューを消化。25日のU23ウクライナ代表戦に向けて調整を進めた。
そのウクライナ戦はチームにとって4月にカタールで行われる最終予選前、最後のテストマッチになる。長らく代表でプレーしていない荒木にとってはラストチャンスとも言える試合だろう。
「自分のプレースタイルはとくに変えてないし、守備のところはちょっとは強くできるようになったというのはあるので、前線からプレスだったりっていうのは試合で示せればなって」
23日の練習後、本人は今回の活動で見せたいものを聞かれ、こう答えている。その言葉には自信がみなぎっていた。
「中盤のところでこの前の試合は行き詰まっていたので、そこで1人で打開できるぐらいのものを出せれば、試合展開も変わったんじゃないかと思います。自分が出たら、そこだなと思って見ていました」
荒木の言う通り、マリ戦ではアタッキングサードでのアイディアや仕掛けが足りなかった。開始2分に決まった平河悠のゴール直後はチャンスもあったが、次第に失速。とくに後半は決定機の数が限られた。すでにパリ五輪出場を決めているマリ代表のレベルがそもそも高かったこともあるが、アイディアや仕掛けに乏しかった感は否めない。
ウクライナ戦で荒木に期待されるのも、本人が自覚する通り、その部分になる。
ゴールに絡み、ゴールを決めることができるか。そして決戦に臨むチームに名を連ねることができるか。
「(所属)チームでの感覚はいい感じで来ているし、その感覚は今も残っています。それを次の試合で出せればいいかなと」
目に見える結果を残し、最終予選、さらにはその先の舞台へーー。ウクライナ戦は荒木にとって勝負の一戦になる。