東京五輪の男子サッカーは31日、準々決勝が行なわれ、日本はニュージーランド(NZ)と対戦した。序盤からボールを保持した日本だが、守備を固める相手をなかなか崩せない時間が続いた。試合は延長120分を戦っても決着つかず、PK戦にもつれ込んだが、日本はキッカー4人全員が決め、4-2で勝利。激闘を制して2012年のロンドン大会以来となる準決勝進出を決めた。

上写真=PK戦勝利が決まった瞬間の選手たち。守護神・谷のもとへ駆け出した!(写真◎Getty Images)

■2021年7月31日 サッカー男子準々決勝(@カシマスタジアム)
日本 0ー0(4PK2) ニュージーランド
得点:なし

・日本代表メンバー:GK谷晃生、DF橋岡大樹、吉田麻也、冨安健洋、旗手怜央(91分:三笘薫)、MF遠藤航、田中碧(91分:板倉滉)、堂安律(106分:三好康児)、久保建英、相馬勇紀(69分:中山雄太)、FW林大地(69分:上田綺世)

・ニュージーランド代表メンバー:GKマイケル・ウード、DFカラン・エリオット(79分:デーン・インガム)、ジアンニ・ステンスネス、ウィンストン・リード(51分:カラム・マッコワット)、ナンド・パイナカー、リベラト・カカーチェ、MFクレートン・ルイス、ジョー・ベル、マシュー・ガーベット(79分:エライジャ・ジャスト)、FWベン・ウェイン(84分:ジョー・チャンプネス)、クリス・ウッド

組織立った相手の守備を崩せず

 立ち上がり、日本は慎重だった。負ければ終わりのノックアウトラウンドはリスクを管理しつつ戦うことが鉄則だ。加えて中2日の4戦目で暑さの残る18時開始のゲーム。行き過ぎず、一方で後ろに重たくなり過ぎないように、バランスを考えてプレーすることが求められる。その点はチームとしてしっかり共有できていた。

 相手が5バックで構え、守備的な布陣を敷いたため、日本がボールを持つ時間が長くなった。ただ、アタッキングゾーンでは厳しい対応を受けて、ネットを揺らすには至らない。その中でも10分過ぎから堂安、林の高速クロスに反応した遠藤と、立て続けにチャンスを迎え、31分にも堂安がボックス内から狙ったが、いずれもネットを揺らすことができなかった。

 ボールは持てる。チャンスも作った。それでも前半はスコアレス。大会初戦の南アフリカ戦と同様、後半にいかにゲームを動かすかが問われることになった。

 迎えた後半、51分にCBリードが負傷交代したことで相手は陣形を中盤をダイアモンドにする4-4-2に変更。守備の局面で1トップの林、トップ下の久保が相手2CBにプレッシャーをかけにいくため、
日本はしばらくの間、相手のアンカー、ベルをフリーにしてしまい、ボールを簡単につながれることになった。

 日本も69分に相馬に代えて中山、林に代えて上田を投入。中山が左サイドバックに入り、旗手を1列前の左MFに上げてゴールを目指した。73分に田中がミドルで狙い、76分には橋岡のクロスに旗手が飛び込みヘディングを放つが、いずれもボールはわずかに枠を外れた。

 大会初戦で守備に徹しつつ1点をもぎ取って韓国を下したニュージーランドは、その再現を目指すように、堅く守って1発を狙う。成功体験が自陣ゴール前での集中力を高めていた部分もあるだろう。日本も81分には堂安のクロスに反応した上田がゴール正面から狙い、85分には堂安がコースを狙ったミドルも放つ。だが、いずれも相手GKウードの好守に遭って得点につながらなかった。

守護神・谷がPK戦で輝く!

 90分では決着つかず、試合は15分ハーフの延長戦に突入する。日本は田中に代えて板倉、旗手に代えて三笘を投入。ゴールをこじ開けにかかった。右の堂安のサイドチェンジから三笘へとボールが渡り、カットインから上田につないでシュートを導くなど、それまでとは異なるリズムで攻撃を展開した。ただニュージーランドも守備の集中が切れず、粘り強く対応してみせた。

 延長前半もゴールが生まれず、ゲームはいよいよ残り15分となった。日本は堂安を下げて三好をピッチに送る。疲労もあり、互いに動きが少なくなる中で、最後の手を打った。それでも決定打は生まれず、延長後半終了の笛が鳴る。勝負の行方はPK戦に委ねられることになった。

 コイントスの結果、日本は後攻に。川口能活コーチのアドバイスを受け、谷がゴールマウスに向かう。最初のキッカー、ウッドには決められたが、日本の一番手である上田が成功したあと、相手の2番手のキッカー、カカーチェのキックを右に飛んで見事にストップしてみせた。日本の2番手、板倉も成功してリードを奪うと、相手にプレッシャーをかけ、3番手ルイスのミスを誘う。そして日本は中山が冷静に蹴り込んで成功。この時点で3-1。相手の4番手マッコワットに決められたものの、4番手・吉田が決めれば勝利という状況を迎えた。ここで日本のキャプテンは、落ち着き払って見事にネットを揺らす。日本がPK戦に4-2で競り勝ち、4強への勝ち上がりを決めた。

 最後のキッカーとなった吉田は「蹴ることは決めていました。谷が止めてくれたので、1本ぐらい外していいかと」と話し、PKを止めて勝利を手繰り寄せた守護神・谷は「ホッとしています。守備がゼロで終われたことが最後にPKで勝つことにつながった」と死闘を振り返った。

 当然ながら、決勝トーナメントは甘くない。1次ラウンドで3連勝を飾り、相手はFIFAランキングでも格下。楽観ムードも漂う中で、吉田キャプテンは繰り返し、チームを引き締めていた。その結果が2012年のロンドン大会以来、2大会ぶりに準決勝進出につながったのは間違いないだろう。次なる相手はスペインに決定。8月3日に決勝進出をかけて、ヨーロッパの雄と対戦することになった。勝てば史上初の決勝進出。1968年のメキシコ大会以来、53年ぶりのメダル獲得も確定する。


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