上写真=三笘薫が合流して、U-24スペイン代表戦で最後のすり合わせに集中している(写真◎JMPA増田泰久)
「終わった後から次の試合が始まっている」
「一番大切なのは、食事と睡眠の質を上げること」
三笘薫が金メダル獲得のために挙げた絶対条件は、コンディションの維持だ。準決勝までの5試合は中2日、決勝に行けば最後は中3日となるものの、いずれにしろ「あっという間に終わる大会」という三笘の感覚の通りのスケジュールになっている。だからこそ、できるだけいい状態でピッチに立つことが必要で、そのためにはやはり、睡眠と食事なのだ。
予行演習と言ったら失礼かもしれないが、川崎フロンターレはACLで中3日の6連戦を戦った。総力戦となったこの大会で、三笘は第1戦、第3戦、第5戦と1試合おきに3試合に出場、残り3試合もベンチ入りした。
「中2日で6連戦だったので、試合後の疲労から次の試合への持っていき方だったり、予行というか、そういうところはよく分かりました」
今回は日本での生活になるから、ウズベキスタンでの隔離生活に比べれば精神的には安心できるだろう。しかし、高温多湿は疲れを助長する。
「リカバリーのところだと思うし、試合が終わった後から次の試合が始まっているという気持ちでやらないと、間に合わないところがあると思います。毎試合毎試合、フルコンディションに持っていくためには、休養がカギになると思う」
逆に言えば、しっかりとコンディションさえ整えば、頂点に立つことができるという自信でもある。
コンディション調整は試合中でも意識することができる。がむしゃらに走ることだけが、賢く戦う方法ではない。
「ACLでは自分たちがボールを保持する時間が長かったので、体力の消耗を抑えられたゲームが多かったけど、五輪はそうはいかないところもあると思います。湿度や気温も相当高いと予想されるので、いかにボールを握れるかがカギになると思うし、走行距離も多くなってくるわけではないので、うまくコンパクトに戦いながら、オンとオフを切り替えながら、試合の中でも自分たちの中で意志を合わせることが大事かなと思います」
小さなズレは蓄積されれば大きな疲労へとつながっていくから、仲間とのていねいなすり合わせが必要になる。三笘はU-24ホンジュラス戦は出場していないが、その分、注意深く見守った。
「前半は特に中盤の3枚だけでなく、前線の選手も、守備の切り替えだったり、守備の強度もそうだし、ボランチとのつながりも良い距離感でやっていたのは良かったと思います。一人ひとりの距離感を意識しつつ、ポジションチェンジしながら攻めていくところは、自分もいい刺激になりました」
その刺激は、本番前最後のU-24スペインとのテストマッチにぶつけていく。