上写真=ホンジュラス戦でCBとしてフル出場した冨安健洋(写真◎JMPA毛受亮介)
■2021年7月12日 国際親善試合(@ヨドコウ桜/観衆4,063人)
U-24日本 3-1 U-24ホンジュラス
得点者:(日)吉田麻也、堂安律2
(ホ)オウンゴール
安定していた前半、ミスが増えた後半
前半はスキがなく、ほぼ完ぺきな内容だった。チーム全体で攻守の切り替えが早く、相手にボールを渡しても即座に回収。冨安が左CBを務めた最終ラインは安定し、ホンジュラスのシュートを0本に抑えた。
ただ、後半は相手が選手交代を機に圧力をかけてきたこともあり、日本の選手たちの足が止まり始めたこともあって、前半のような安定感は失われた。
「後半に入ってかなりミスが増えましたし、奪った後のボールをつなげないことが多くなって、それで押し込まれる展開が多くなりました。あとは前線の選手に伝えたのは、前半は上手くいっていて、縦パスが入ってシュートまでいっていたんですけど、後半は縦パスが入ってもそこからボールを失ってカウンターを受ける回数が多くなった。縦パスが入っていけるとしても少し待って、ボランチに下げたりだとか、あとはサイドに深くに押し込んでそこから相手陣内でボールを回さないときついなと思いました。今日はたまたま勝てた、というような感じだと思います」
結果は3-1の勝利だったが、冨安は収穫よりも課題に目を向けた。とりわけ後半に喫した1失点は反省点になった。吉田麻也がスルーパスに反応して相手の攻撃をストップし、クリア。その浮き球を遠藤航がヘディングで処理した65分のシーン。ヘディングでつないだボールの距離が出ず、相手に奪われてしまった。そこからシンプルに縦に出されてシュートに持ちこまれると、GK谷晃生が体に当てたものの、ボールはゴール方向に飛び、ゴールライン上まで戻った冨安も足に当てたが体勢が悪くクリアしきれず。ボールはそのままゴールの中に転がり、記録上はオウンゴールとなった。
「(後半は)ボールを奪って足が止まっちゃっている感は全体的にあったかなと思います。なので、ボールを奪ってつなげて、マイボールの時間を増やすというところまでしっかりとやらないといけない。ただ、そこのコンディションの部分は今日やりましたし、またよくなっていくとは思います」
指揮官も指摘していた通り、この試合では1カ月以上、ゲームから離れている海外組がゲーム勘とともにゲーム体力を取り戻す意味もあった。そのために選手に疲れが見え始めた中でも、プレーを続けていた面はある。当然ながら今後はよりコンディションも上がっていくだろう。ただ、本大会は酷暑の中の連戦であり、失点場面のような疲れがたまってくる時間帯は必ず訪れる。そこで、どうプレーすべきか。各大陸を代表して五輪に出場するチーム相手に、一瞬でもスキを与えれば、失点につながることをこの日、改めて確認することになった。その意味では自チームの体力維持や消耗を考慮しつつ、賢くプレーし、ゲームを運んでいくことが求められる。冨安が言及するのは、まさにその点だ。
「(重要になるのは)ゲームコントロールのところだと思います。点差だったり、時間帯だったり、流れをうまく読んで、今どう振る舞うべきかというのは、チームとして今日、課題として出たと思う。そこは改善しないといけない」
ゲーム終盤には冨安がボール奪取から左サイド深い位置まで進出し、堂安律のこの日2点目の起点になった。自ら『素早い攻守の切り替え』というチームコンセプトを体現している。前半の守備も含め、ホンジュラス戦は冨安にとっても収穫の多い試合だっただろう。ただ、メダルを狙うためには、一つの課題も見過ごせない。冨安は「今、どう振舞うべきか」を問い続け、ベストな選択を取り続けられるように、チームに、自らに求めていく。