上写真=チームを引っ張る覚悟を口にした堂安律(写真◎山口高明)
五輪の中心世代に生まれ東京大会に臨める奇跡
五輪代表の中心を担える世代に生まれ、しかも東京開催の大会に臨むチームの10番を背負う。他ならぬ堂安自身が、その巡り合わせを「奇跡」と感じていた。
「母国でオリンピックが開催されることは、僕が本当に生きているうちにあるかないか分からないぐらいの奇跡。サッカーという競技においては世代という運も重なってこういう年齢でプレーできている、プラスで10番もつけられるというのは本当に奇跡としか言いようがないと思う」
その奇跡を引き受ける覚悟が、堂安にはある。
「いろいろ、みなさんからの期待に応えられるように頑張るだけだなと思いますし、ただ先ほども言ったように自然体でいい心と頭で練習は過ごしているので、いい状態で持ち込める自信がいまはすごくあります」
五輪本番まであと11日。実戦機会は明日のホンジュラス戦と17日のスペイン戦だけだ。堂安は「あとは2試合しかないので、しっかりと選手同士での要求や、前線と後ろの選手の意見の共有、攻めるときなのかどうかを確認したい」とし、「チームとして90分間を通しての勝ち方や、どういう攻め方でどういう守り方をすべきか、時間帯も含めて試合運びというものも、本戦では大事になってくる。明日の試合では、大人のサッカーじゃないですけど、しっかりと勝ち切るサッカーをしたいと思います」と、選手同士で共有すべきポイントを挙げた。その力強い言葉には、チームをけん引する自覚と、勝利を目指す覚悟が感じられた。
本番では「普段通りにやりたいですし、やろうと心がけますけど、普段通りにできないのはわかっている」と堂安は言う。そういう状況を理解した上で、「平常心を保てないのを分かっておくことが必要かなと思っています。そういう気持ちを先に理解した上で、準備を進めておくのが一番重要。やっぱり高ぶりますし、抑え込もうとしても気持ちが高ぶるものがあるので、それを先に理解しながら、その気持ちをコントロールして、ピッチに立った瞬間に解放じゃないけど、『さあ見せよう』というわけじゃにですけど、そういう気持ちはすごく大事なのかなと思います」と、メンタル面の準備についても語った。
高ぶる気持ちをコントロールしつつ、ピッチではいい意味で開放し、チームの勝利につなげていく。心も体も充実しているという堂安が、自身を開放する瞬間が間もなく訪れるーー。