三笘薫が絶妙のドリブル&アシストで猛アピールだ。U-24日本代表が臨んだ6月12日のジャマイカ代表とのテストマッチは、東京オリンピックのメンバー選考前の最後のアピールのチャンス。先発出場のチャンスを得た三笘は、57分に最高のパスを送って上田綺世のチーム3点目を導いてみせた。

上写真=三笘薫が上田綺世への見事なアシストを披露。大学時代からのあうんの呼吸だった(写真◎JMPA毛受亮介)

■2021年6月12日 国際親善試合(@豊田/観衆4,029人)
U-24日本 4-0 ジャマイカ
得点者:(日)久保建英、遠藤航、上田綺世、堂安律

「ああいう動きをするのはわかっていた」

 お互いにわかり合っていた。57分のチーム3点目のシーンは、2人のセンスが重なり合う美しさにあふれていた。

 三笘薫が中盤左で瀬古歩夢からボールを預ると、そのまま横にドリブルを始めた。するすると相手をくぐり抜けると、ゴールに向かって一直線に上田綺世が走り出す。その足元に滑り込ませるように送ったラストパス。上田のスピードに合わせる速さも、相手に触られずに上田がそのまま打てるようなコースも申し分なかった。上田はGKが出てくるところをよく見て、巧みなループシュートで決めたのだった。

「大学から綺世とはやっていますし、ああいう動きをするのはわかっていたので、スペースではなくて足元に出しましたけど、その前に歩夢もいいところに付けてくれました」

 ボールを預けてくれた瀬古、決めてくれた上田への感謝が先に立つ。それでもこのアシストを手放しで喜んだわけではない。

「ターンしてからスペースがあったのでよかったですけど、あそこでつぶされたらカウンターだったので一か八かだったと思います。そこはよかったですけど、もっともっと強いチームとやったとき、できるかどうかはまだわからないです」

 2-0でリードしていた試合の状況や相手の圧力などを考慮した上で判断した「一か八か」。その表情からは慎重さもうかがえるが、言い換えれば思い切りの良さを生かしたということ。それは決して悪いことではないだろう。この日がメンバー選考前の最後の試合。「オリンピックに出ることへの意志の大きさがプレーに表れてくる」と位置づけた試合で先発したから、価値あるアシストだった。

「結果を出さないと、と思いながらやっていましたけど、そこまで気負わずやっていましたし、綺世がいい動きをしてくれたので綺世に感謝したいと思います」

 周りのおかげ、というスタンスは崩さない。だから自己評価は「簡単なミスが多かったですし、1点には絡みましたけど、あれがなければ何もしていないところだったので満足はいってないですし、もっともっとやるべきことが多くある」である。

 それでも、あのスラロームドリブルとパスのセンスと、それを生み出す思い切りの良さを披露したのは好材料。60分までプレーしてバトンを渡したライバルの相馬勇紀もアシストを記録した。あとは、待つだけだ。


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