U-24日本代表にオーバーエイジ(OA)として参加している酒井宏樹がオンラインで取材に応じた。10日にマルセイユから浦和レッズに移籍することを発表した右サイドバックは、まずは日本のためにすべての力を注ぐつもりだ。

上写真=5日に行なわれたUー24ガーナ代表との試合でも圧倒的な存在感を示した酒井宏樹(写真◎JMPA増田泰久)

ジャマイカ戦は後ろからサポートしてあげたい

 ロンドン五輪に出場して4位になり、メダルまであと一歩のところまで迫った経験を持つ酒井宏樹は今回、オーバーエイジ(OA)として2度目の五輪に臨む。ただ、五輪を知り、OAの立場を知るがゆえに、参加の打診を受けた際は、複雑な思いも抱いたという。

「すごく複雑ではあります。実際に僕がロンドン五輪を目指していたときも、やはりオーバーエイジの選手が入ってくるというのは少し、正直に言えば100パーセント歓迎できていたかというと違っていた。今回もそういう選手たちも少なからずいると思います。そういう枠を取ってしまっているので、すごくプレッシャーを感じています」

 今回、酒井のほかに吉田麻也、遠藤航がOAとして参加しているが、U-24のいわゆるオリンピックエイジの選手たちからすれば、3枠を奪われた形。9年前に当事者だった酒井は、受け入れる側の心情を慮った。

 OAの選定にあたって、森保一監督は、戦力としてはもちろん、オリンピックエイジの選手たちにポジティブな影響を与えるからだと、この3選手に決めた理由について説明していた。吉田はオリンピックエイジとして北京五輪に出場し、OAの立場もロンドン五輪で経験済み。酒井はロンドン五輪で、遠藤はリオ五輪で、それぞれOAを受け入れる側を経験した。今回の活動期間中も、3人はOAとしていかに振舞うべきかについて事あるごとに語っていたが、そんな彼らだからこそ、チームへの融合がスムーズだったのかもしれない。ここまでは波紋を起こすことなく、実にうまくチームに馴染み、ポジティブな要素をいくつももたらしているように映る。

 5月31日から始まった今回の活動も、いよいよ12日のジャマイカ戦が締めくくりとなるが、酒井は試合を前にこんなコメントを残した。

「僕個人としてはチームがレベルアップしていくことを考えなければいけないですし、個人としてももちろんジャマイカ相手にどれだけできるか、ワクワクしています。ただ、若い選手たちにとってはかなり選考の部分がかかっていると思うので、そういう意味でも後ろからしっかりサポートしてあげて、彼らが思い切りできるような環境をつくってあげたいと思います」

 オリンピックエイジの選手たちにとっては、ジャマイカ戦が五輪メンバー発表前の最後のアピール機会になる。OAの立場ならではの発言だろう。これまでの練習の中でも、酒井は全体練習後にアドバイスを求められ、それに応える姿を見せていた。サイドバックが本職ではない中山雄太らと話し込んでいたことを指摘された際には、「いえいえ、僕自身もかなり彼らから学んでいます。ただやっぱり僕が思っていることと、彼らが思っていることと違う部分があるので、そこはお互いに話しながらすり合わせていくことが大事。どっちが偉いだったり、どっちが経験があるとかではなく、やっぱりチームなので。4バックがうまく機能していれば崩れないですし、そこのすり合わせです」と答え、ただアドバイスしているのではなく、自分自身のための意見交換だと説明した。

「(OAに求められるものは)すべてだと思います。ピッチ外もピッチ内もそうだと思いますし、やはり引っ張っていかないといけない立場だと思います。でも、そういうタイプでもないので、自分の場合はプレーで、ピッチ内で示していかないといけない。ピッチ外は航だったり、麻也くんがしっかりオーガナイズしてくれるので、しっかりピッチ内で示せるような選手になりたいなと思います」

 ロンドン以上の結果を、東京で。そのために酒井は自身の立場からできることを全てやるつもりでいる。ピッチ内では誰もが納得するプレーを示し、輝くメダルをつかみにいく。

「やるからにはすべての試合で勝ちたい。そのためにサッカーをしているし、日本代表のユニフォームを着ているので、どういう結果になるかはもちろん勝負の世界なので分かりませんが、その確率を少しでも上げられる努力をしていきたいです」

 本気で取り組む酒井がチームにいることで、その確率は間違いなく上がっているだろう。


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