東京五輪に向けて活動するU-24日本代表は、6月5日にU-24ガーナ代表と対戦して6-0と圧勝した。勢いをそのままに12日にはジャマイカA代表との国際親善試合を戦う予定だ。ここまでA代表との試合にのみ出場している沖悠哉がオンライン取材に応じた。

上写真=6月3日のA代表との試合でゴールを守った沖悠哉(写真◎JMPA兼村竜介)

「国際経験はないし、試合に出始めてから1年も経っていない」

 大迫敬介、谷晃生、鈴木彩艶、そして沖悠哉。東京五輪のメンバー入りを懸けた4人のGKの競争は最終局面を迎えている。6月シリーズでは、3日のA代表との試合に大迫と沖が45分ずつ出場。5日のU-24ガーナ代表との試合には谷がフル出場している。“飛び級”でU-24代表に選出された18歳の鈴木の出場はまだないが、下の世代の代表で国際経験を積んできた実績を持つ。まさに、4人の実力者によるサバイバルが繰り広げられている。

 そんな4人の中でも、沖はここ1年で大きく成長した守護神と言えるだろう。2018年に鹿島ユースからトップチームに昇格。曽ヶ端準(現在は鹿島のGKアシスタントコーチ)、クォン・スンテといった日韓の元代表GKとともに切磋琢磨し、各年代の代表候補にも名を連ねる後輩の山田大樹がトップチームに加わった昨年の8月にJ1リーグ初出場を果たした。

「国際経験はないし、僕が(鹿島で)試合に出場し始めたのも昨年の8月のことで、まだ1年も経っていない。そういった中で、今このような(U-24日本代表としての)環境を与えてもらっていることに、まずは感謝したいです。その与えられた環境で全力を出しきることが、今の自分に求められていることだと思います」

 当時のザーゴ監督の下で鹿島のレギュラーの座をつかんだ沖は、昨年12月に行なわれた国内組のトレーニングキャンプの代表候補メンバーに選ばれる。それから数えてもまだ半年。3月のU-24アルゼンチン代表との2試合を戦うメンバーにも選出され、GK陣で唯一出場機会がなかったものの、今回は6月3日のA代表との試合で後半開始から出番が回ってきた。

 ただ、U-24日本代表での初めての試合では、「スピード感だったり、パワーの違いだったり、差にもならないくらい(の衝撃を)感じました」と、A代表の選手たちとの実力差を体感した。浅野拓磨に失点を喫した場面では、「(浅野は)クロスの入り方やスピード、タイミングと、どれも全然違ったものでした」と振り返り、同時に「自分がセカンドボールを後ろに逸らしてしまったのは、まだまだ何かが足りないということ」と、自身の未熟さも痛感した。

 そういった経験が、また沖の成長の糧となる。「その後の練習でも、自分の中でイメージしながら取り組むことができています。これから自チームに戻っても、この感覚を忘れずやっていきたい」。鹿島でも、代表でも、周囲のハイレベルな選手たちからいろいろなものを吸収して、ここまで階段を上ってきた。「今は本当に素晴らしい環境が整っているので、目で見て学ぶものもあるし、聞いて学ぶものもあります」。そして、東京五輪のメンバー入りに向けたアピールの場は、12日のジャマイカ戦を残すのみとなる。

「まだ明日の練習も残っているので、その中で自分の存在をしっかりアピールして、最後の試合に出られるようにしたい。もし出られなくても、しっかり最後まで準備して、サポートできるようにしていけたらと思います」

 沖が言うように、ジャマイカ戦に出場できるか否か、また東京五輪の舞台に立てるか否かは、現時点では分からない。どんな運命をたどろうとも、「自分はA代表を目指している」と力強く言葉を放つ沖悠哉のサクセスストーリーに終わりはない。


This article is a sponsored article by
''.