上写真=相馬勇紀がチーム4点目を仕留めて拳を握る。「自然に出た」ガッツポーズだったという(写真◎JMPA増田泰久)
「ガッツポーズは終わって映像を見て、やっていたんだなって気づいた」
後半開始早々の48分。パーフェクトなゴールが生まれた。
最終ラインの吉田麻也から縦パスが前線にするっと入ってくる。右から中に入って受けた堂安律がワンタッチで相手をはがして、中央へ優しいパスを送る。そこに左から入ってきたのが、相馬勇紀だった。確実にゴール右に流し込んで、4-0とした。
「今回の代表活動は、誰もが分かるように五輪直前のサバイバルであり、チームとしての活動というところで、ガッツポーズは終わって映像を見て、やっていたんだなって気づいたので、自然と出ていたのかなと思います」
自分でも気づかないうちに拳に力を込めていた。
「左サイド」「ドリブラー」「スピード」といった強みを持つのは、相馬と三笘薫がいる。どちらもJリーグで目覚ましい活躍を見せていて、このU-24代表に選ばれている。三笘もこの日、89分に試合を締める6点目を決めた。ハイレベルなポジション争い。
右サイドに入った堂安律と中央の久保建英がポジションを入れ替えながら、お互いに近い距離感でボールを受け渡して攻撃のリズムを作った。同じ2列目では左の相馬はあえて彼らと距離を取ったという。
「特に前半は建英と律と中で入って受ける選手が多いので、僕はできるだけ外で引っ張って、彼らのスペースを空けようと思ってプレーしていました」
それが、48分のゴールにつながっていく。
「それを前半やった分、後半は相手のライン間が空いてきたので、縦パスが入った瞬間を狙っていけて、(上田)綺世の動き出しが合ったからこそ、あそこ(中央)も空いたと思うので、そこも良かったと思います」
右でボールを動かし、上田が相手を釣ったことで中央にスペースができて、そこを相馬が使った。鮮やかな連係だった。
「右で作ってくれる分、最初は幅を取って彼らがプレーするスペースを空けながらも、フィニッシュになったら中に入っていかないといけないので。昨日も枠を脅かすシュートは少なかったですけど、シュートも4本打てたので、シュート数は増えていますし、もっと点を取れるポジショニングを意識してやっています」
右で作って左で仕留める。そのためには左サイドハーフの選手がウイング的な動きだけではなく、「ストライカー」として機能しなければならない。
「特に攻撃のところで、昨日であれば、僕が中に入って受ける形は少なかったんですけど、最後のペナルティーエリア周りの質のところで、もう少し、例えば、律が綺世に当てるシーンがけっこう多かったので、その裏に僕が入って連係を取ったり、逆にもっとここはこういう動き出しをしたいとか、こういうパスを出したいとか、細部のところまで突き詰めてやっていきたいと思います」
U-24日本代表が東京オリンピックで輝くための「右から左」。相馬のストライカーへの変身が、その「黄金ルート」を完成させるのだ。
写真◎JMPA増田泰久