上写真=威風堂々と中盤の底でプレーした田中碧。「攻撃陣が主役」と黒子に回ったが、存在感は確かなものだった(写真◎Getty Images)
■2021年6月5日 国際親善試合(@ベスト電器スタジアム/リモートマッチ)
U-24日本代表 6-0 U-24ガーナ代表
得点者:(日)堂安律、久保建英、オウンゴール、相馬勇紀、上田綺世、三笘薫
「自分自身も違いを作っていかないといけない」
田中碧が遠藤航と組んだボランチのコンビは、大きなポテンシャルを感じさせた。
田中いわく、「ほとんどぶっつけ本番だった」というのがこの試合に臨むチームの状態だった。急きょ組まれた6月3日の日本代表との親善試合、天候不良で札幌からの移動も飛行機が遅延と、ほとんど練習ができていない中でも、6-0で勝ちきったのは価値がある。
田中が意識したのは「彼らが気持ちよくプレーできるように心がけた」こと。彼ら、とは攻撃の選手たち、先発メンバーで言えば、堂安律、久保建英、相馬勇紀、上田綺世だ。
「前にいい選手がいるので、そういう選手たちが主役ですし、いかにボールを届けるかが大事だと思うので。もちろん、後ろからしっかりビルドアップして、彼らに時間とスペースを与えることもそうですし、逆に、守備でしっかり前から回収して、ビルドアップの段階を省くことがより相手を押し込める条件だと思います。前の選手も精力的に守備に参加してくれますし、あとはしっかりと最終ラインもアタックしてくれるので、自分たちが拾ったり、つぶしきる作業がより大事になるのかなと思います」
クリエティブな選手を最大限に活用するために何をするか。このチームで田中が自分に与えたタスクは、フルタイム出場で思う存分、ピッチで表現された。
それにはやはり、遠藤航の存在が大きかった。
「日本で一番のボランチの選手ですし、隣でプレーさせてもらっていることはすごく幸せです。学ぶものは多いですし、守備の強度の部分、球際の部分、出ていく部分、予測の質と回数の多さ、いままで一緒にやってきた選手の中では段違いというか、前を見る意識もそうですし、勉強になります」
しかし、ただ勉強するだけではいられない。東京オリンピックを戦う18人のメンバー入りをかけた大事な局面なのだ。
「一緒にやりながらコミュニケーションも取りましたし、学んでいければいいと思います。しっかりいろんなものを吸収して、でもライバルでもあるので、自分自身も違いを作っていかないといけないと思います」
45分の3点目は、右サイドの裏に抜け出した酒井宏樹を見逃さずに田中が送ったミドルパスから生まれたオウンゴール。最後の89分の6点目も遠藤とのワンタッチのパス交換で中央を割ってから、食野亮太郎を経由して最後は三笘薫が決めたもの。しっかり2得点の起点にもなっている。
ライバルは日本一の、世界で通用するボランチ。負けず嫌いの田中が燃えないわけはない。
写真◎Getty Images