上写真=3月のU-24アルゼンチン代表戦では力を出しきれなかった反省が。三笘薫は生き残りにかける(写真◎小山真司)
「ハードワークの部分でチームを助けられるように」
三笘薫は3月25日のU-24アルゼンチン代表と対戦した試合では先発出場したが、自慢のドリブルはおとなしめ。66分までのプレーとなり、反省ばかりが口をついた。続く29日の同カードでは88分からの投入。だから、今回のサバイバルキャンプでのテーマは、より研ぎ澄まされている。
「やっぱり結果を出さないと本当に生き残っていけないと思いますし、この3試合で決まってくると思うので、目に見える結果を出して生き残りたいという思いでやっています」
目に見える結果とはもちろん、ゴールだ。川崎フロンターレでは、3月の代表活動から戻った最初の試合で大分トリニータから2ゴールを奪って、2-0の勝利の主役になった。それ以降も4試合連続ゴールなど、大分戦も含めて13試合7ゴールをたたき出している。
「ゴール前での仕事が評価につながると思います。前回はなかなかそういうところで特長を出すことができなかったので、自分のプレーをもっともっと出して、ゴールだったりアシストをつけるというところが大事ですし、ほかのところでもハードワークの部分でチームを助けられるようにしたいです」
アルゼンチンとの対戦を振り返ると、ボールを受ける「場所」に反省点を見出す。
「前めのプレーエリアで力を発揮しないといけないと思っているんですけど、アルゼンチン戦ではより低い位置でボールを持つ回数が多くなったり、下がってしまってそこからドリブルを開始してしまったり、判断のところが良くありませんでした。そこはすぐに改善できると思いますし、より攻撃も守備もなるべく高い位置でプレーするところを意識したいと思います。そのためには前からプレスをしてカットして早く攻めるところが必要だと思っています」
それを川崎Fに戻ってもう一度磨いたから、7ゴールを生むきっかけになった。
「オフ・ザ・ボールのところは去年以上に良くはなっていると思いますし、相手の裏をかいたり、相手のマークをはがすところはうまくなっていると思います。でもまだまだ全然足りていないと思うので、その両立をしっかりしていかないとなと思っています」
その言葉を証明したのは、例えばJ1第13節のガンバ大阪戦。左サイドで一度下がると見せかけて相手の重心を動かしてから一気に逆を取って縦に走り出して相手をはがし、ボールを引き出してそのままゴールを決めきった。
ただ、川崎Fでは4-3-3システムの左ウイングで、U-24日本代表ではアルゼンチン戦では4-2-3-1の左サイドハーフだった。守備の立ち位置が異なるなど、微調整が必要になると感じている。
「フォワードの選手と2列目に誰が入るかによっても特長が変わってきますし、その選手がスピードを持った選手なのか、など、どういう選手かによってプレスのかけ方やスピード感も変わってくると思っています。そこに合わせつつ、自分もしっかり入れるようにと思ってやっていますし、もちろんフォーメーションの部分も違うところもあるので、そこにしっかり適応したいです」
先発でもジョーカーとしても、自信を持ってプレーできるから、複数の「役割」をまっとうできるという点で、三笘は強烈なユーティリティー性の持ち主だ。オリンピックの登録はわずか18人。それも大きな武器になるだろう。