上写真=久保建英が思わず天を仰ぐ。アルゼンチン相手に攻めたがゴールにわずか届かず(写真◎小山真司)
■2021年3月26日 国際親善試合(@東京スタジアム/観衆:8,416人)
U-24日本 0-1 U-24アルゼンチン
得点者:(日)ガイチ
「少しずつ想像より違ったのかもしれません」
U-24アルゼンチン代表を迎えたテストマッチは、世界トップクラスのレベルを体感する絶好の機会になった。
前半は一進一退、ではあった。6分に田川享介のプレスバックから奪って渡辺皓太、三好康児とつないで右サイドを駆け抜けた菅原由勢がセンタリング。8分にはアルゼンチンが右サイドを抜け出してガイチのクロスをバレンスエラがヘディングで狙ったがバーへ。17分には日本が今度は左サイドから旗手怜央と久保建英のコンビネーションできれいに左を割るものの、センタリングが合わなかった。19分にはアルゼンチンが短いパスをスピーディーにつないで最後は左に抜けたバレンスエラがフィニッシュ、これもまたバーに直撃した。
交互にチャンスを作る流れにも、要所で崩れないのはさすがアルゼンチン。そして21分、ついに先制弾を浴びる。
ロングパスで右サイドを抜けたバルガスが、板倉滉の守備をはじき飛ばすようにして抜け出しセンタリング、これを身長192センチのガイチがヘッドで押し込んでバーに当たり、今度はそのままゴールに飛び込んだ。
後半も大きな流れは前半と変わらず。日本は左右にボールを動かすが、アルゼンチンが最終ラインと中盤のラインをコンパクトにしてスペースを与えてもらえず、のらりくらりと慌てずに止められて、最後の最後で中央の危険なエリアを割らせてもらえなかった。
後半に連続してチャンスに絡んだのは久保だった。55分には三笘が左サイドから中に持ち込んで中央へ、最後は久保がフィニッシュしたシーンや、その1分後に右から中にカットインしてミドルシュート、62分には右からのFKを直接狙い、70分には左オープンスペースで受けて中央へ送って田川のシュートを導いた。80分には交代出場していた食野亮太郎がクロスを胸で落としたところを右足のボレーで狙ったが、バーの上へ。
「映像ではアルゼンチンの特徴を理解していましたが、実際に体感すると前半はうまくいかないことがありました」
そう振り返るのは横内昭展監督だ。崩せそうで、崩せない。
「アルゼンチンに対して予測はしていて、予測どおりのところはありましたが、ピッチ内で体感している選手は映像で見るより相手が速かったり強かったり切り替えが早かったりと、少しずつ想像より違ったのかもしれません」
アルゼンチンのフェルナンド・バティスタ監督は逆に「残り25分、30分ぐらいは疲れも見えたので、縦に速い攻撃ではなくテクニカルな選手を入れてポゼッションを高めた」と絶妙にスローダウン。それに呼応するかのように日本も攻めたが、やはりアルゼンチンはアルゼンチン。日本にチャンスがまったくないわけではないものの、いわゆる「門を閉じられた」状態のまま、ゴールをこじ開けることができなかった。
「ただ、ゲームの中でも後半は修正できていいシーンもありましたし、相手の激しいプレスにも自分たちで動かせるようになりました。もう1試合あるので、今日の後半よりもさらにいい形に持っていきたい」
横内監督は収穫も手にした。世界トップクラスの強さと速さとしたたかさを体感して、もう一度仕切り直すチャンスに挑む。
取材◎平澤大輔 写真◎小山真司