上写真＝前田大然は自らの特長を生かし切るのが今合宿のテーマだと語る（写真◎サッカーマガジン）
自分はまだ足りないことだらけ
「海外組を含めてですけど、全員が集まったら、まだまだ自分は足りないことだらけだと思うので、この期間でやっぱり、アピールして、来季はチームに帰ってしっかり良い結果を残したいなと思います」
発する言葉は謙虚だ。自身の立場もよく理解している。初招集も多い今回の合宿の中では常連組にくくられるが、何一つ確約されているものはない。
本大会が1年延期されたことでライバルも増えるのでは？ と問われたときにはこう答えている。
「（五輪が）1年延びる前も、自分は確定だと思っていなかった。なので中止になっても、（競争への意識は）別に変わりはないかなと思いますね」
競争に勝たなくては、五輪の舞台には上がれない。そのことを自覚したうえで、メンバー入りを果たすために重要になるのは何だと考えているのか。
「自分が一番速いと思っています。そこは他の選手にないものなので、そこをしっかり伸ばしつつ、ゴールであったりアシストをやっていけたらと思います」
自らの最大の武器であるスピードを生かしてプレーし、ゴールやアシストという記録も残す。それが今、前田が自分に課していること。今回の合宿でアピールしたいことについてもやはり「他の選手にはないスピードを自分は持っていると思っているので、そこをうまく利用しながら、やっていけたら」と説明した。
初日から行なわれているゲーム形式の練習では4-2-3-1の2列目の左でスプリントを繰り返し、存在感を示している。プレスの際の寄せの速さ、裏に飛び出す切れ味、仕掛けのスピード。攻守両面で際立つ。
「はっきりって、今年は本当に不甲斐ない結果やったんで、収穫は正直、そこまでない。本当に来季こそはという思いでいまはいます」
前田が言う「来季」の中には、所属クラブでの活躍とともに、当然、東京五輪本大会も含まれる。同世代のライバルたちから刺激を受けた韋駄天は、26日の練習試合で現在地をしっかり示し、2021年を迎えるつもりだ。
