上写真=後半開始から登場し、右サイドからクロスを送って攻撃に厚みを加えた菅原由勢(写真◎毛受亮介)
航基くんと話し合っていた
チャンスがありながらもスコアを動かせない日本が、決勝点を記録したのは87分。菅原由勢が右から送ったクロスを、小川航基がニアで頭を合わせてネットを揺らした。
「相手が大きかったんでね、航基くんと相手の前に(ボールを)欲しいというのは話し合っていて、それがうまく実ったというか、いい意思の共有ができたいうのは確実にありますね」
決勝アシストを記録した菅原は、狙い通りにプレーだったと振り返った。そして途中から出場し、勝利をつかんだことの意義を強調した。
「前半のメンバーがある程度ボールを握った中で相手を疲れさせてくれたと思うし、そのおかげでスペースもできていた。逆に後半から入るメンバーは比較的最終予選から含めて途中から出てくる選手が多かった中で、やっぱりここしか最後のチャンス、アピールしないと思っていたので、そこはもう(長友)佑都さんはじめ、(瀬古)歩夢も航基くんもそうだし、やっぱり俺らが流れを変えるぞというところは話し合っていた」
先発11人だけで勝ち切ることは難しい。コロナ禍に交代枠が5人に増え、それが定着したことで、その傾向が強まった。どんなカードを持っているのか。そしてそれをどのタイミングで切るのかが重要だ。果たしてアイスランド戦に臨んだ日本は、途中出場の菅原のアシストによって、同じく途中出場の小川がゴールをこじ開けた。
「まだまだ改善点はあります。でも『誰が出ても』と監督はいつも言っていますけど、ある程度できた部分はあるかなと思います」
日本の選手層が着実に厚みを増しているのは、これまでの歩みが証明しているが、アイスランド戦もまた、そのことを少なからず証明する一戦になった。そして、本大会に向けて自身の力を改めてアピールするとともに、この日の菅原には、どうしてもゴールに絡みたい理由があった。それは自らのプレーが偉大な先輩に対する、はなむけになると考えていたからだ。
「(吉田)麻也さんがこれだけの素晴らしいキャリアを築いてきた中で、僕自身、名古屋(グランパス)の先輩でもあったし、昔から憧れて、麻也さんの背中を追ってここまで来た。本当はスタメンで出て、最後10分だけでも一緒に(ピッチに)立ちたかったんですけど、でもとにかく、今日は自分が得点に絡むプレーができたら、麻也さんにとっても嬉しいかなとは思っていたし、麻也さんのためにもという気持ちはもちろんあったのでアシストできたと思う。
麻也さんが交代する時にスタンディングオベーションがありましたけど、あれに値する選手ですし、最後かどうかはわからないですけど、ああいう形で送り出せたことは僕自身すごく嬉しいです。ある程度、恩返しじゃないですけど、それはできたかなと思います。麻也さんに聞いてみないとわからないですけど」
名古屋グランパスの偉大なる先輩であり、日本代表のレジェンドに対する思いが人一倍強かった。代表のピッチで一緒にプレーすることは叶わなかったが、今回の試合に向けて、ともに汗を流した日々は大きな財産になったとも言う。
「経験が違うわけだし、良いワールドカップも、悪いワールドカップも…悪いという言い方は良くないかもしれないですけど、何がダメだったのか、ある程度ワールドカップでの戦い方を知っている選手だし、それがもちろん長谷部(誠)さん、長友佑都さんもそうですけど、でもこうやってね現役でやっている選手が生で語って、自分たちと一緒にトレーニングする存在としているのはまた違うと思うので」
初戦のオランダ戦まで、残り2週間。先人からのバトンをしっかり受け取った菅原は、自身初のワールドカップへ強い決意で臨む。
