上写真=昨年9月以来の代表活動となった佐野航大(左)と鈴木唯人(中央)。右は佐野海舟(写真◎青山知雄)
競争は厳しい。でもいい色を与えられれば
鈴木唯人と佐野航大にとって、昨年9月以来の代表復帰となった。今回は南野拓実、久保建英、遠藤航ら、これまで主軸を担ってきた常連組が不在。必然、彼らにかかる期待は熱を帯びる。
鈴木は静かに、しかし力強く言う。
「僕自身、これほど良いコンディションで合流できたことは今までなかった。自信を持ってここに来られているので、スペシャルなことをしようとは全く思っていません。ただ、やってきたことを出すだけ。自分の特長を思う存分に出して、アピールできればいいかなと」
起用が予想されるのはシャドーのポジションだ。昨夏、デンマークのブレンビーからドイツのフライブルクへと舞台を移し、研鑽を積んできた。その言葉には、欧州5大リーグで戦う自信がみなぎる。
「フライブルクでやってきたことを出すだけ。もちろんワールドカップが控えているので、アピールは不可欠です。でも、考え方はとてもシンプルです」
ありのままをぶつければ、自ずと道は開ける。実際、フライブルクでのプレーは長足の進化を感じさせている。昨年11月以降はトップ下で先発に定着し、ここまで22試合に出場して4ゴール・2アシストをマーク。守備強度も格段に向上した印象を受ける。その自負ゆえか、久保や南野の不在を問われても、「自分は自分」というスタンスは揺るがなかった。
「もちろんいい選手が僕のポジションには多いので、間違いなく厳しい競争が待っている。でも、特長はみんなそれぞれ違いますし、僕もまた違ったタイプの選手として、いい色をチームに与えられればいいと思っています」
一方、佐野航大も所属するNECで飛躍のシーズンを送っている。ここまで28試合に先発。ダブルボランチの一角として攻撃のタクトを振り、3ゴール・8アシストという数字を残してきた。
「(代表で)どこに配置されるかは分かりませんが、個人的にはゴールに直結するプレーがしたいので、シャドーが理想です。ただ、ボランチもチームでやっているので、どちらでも対応できます」
代表での役割がボランチかシャドーかは、指揮官の判断に委ねられる。だが、過去2試合の途中出場に留まっている代表キャリアが、今遠征で大きく塗り替えられる可能性は高い。本人の視線は、生き残りを超えて「定位置奪取」を射抜いている。
「選ばれた限り、そこ(定位置)は絶対に狙っていかなければならない。そこは強く思っています」
アピールのイメージはすでに整理されている。
「プレーの強度やスピード感については、攻守ともに最近はすごくできるようになった。より高いレベルをやっていないといけないですけど、ボールを持った時のチャンスメイクや、相手を剥がして前へ運ぶ形をしっかり見せていきたい」
今回の代表には、NECのチームメイトである小川航基、そして今冬にヴォルフスブルクへ移籍した塩貝健人が名を連ねた。かつて「3人で代表へ」と語り合った仲間が、ついに揃い踏みを果たした。
「3人でずっと一緒に代表入りたいという話をしていたので、それが叶ったのはすごいうれしいこと。でもここで終わりじゃないんで。ここから各々が結果を出して、みんなで(W杯メンバーに)入れたら」
鋭い仕掛けとゴールへの意欲で鈴木唯は道を開くことができるか。そして佐野航はゴールを演出する才を代表のピッチで表現できるか。
北中米W杯への切符を懸けた最終局面。2人は、自らの手でそのチャンスをつかみ取りにいく。
取材◎佐藤景[現地]
