サッカー日本代表は18日、東京・国立競技場でボリビア代表と対戦し、3−0で勝利を収めた。後半、流れの悪い時間帯に投入され、チームに勢いをもたらした一人が中村敬斗だった。町野修斗のゴールをアシストし、自らもネットを揺らした。

上写真=途中出場で流れを変え、勝利に貢献した中村敬斗。右は先制点を挙げた鎌田大地(写真◎高野徹)

自分に与えられた役割がある

 67分に南野拓実に代わってピッチに入った中村敬斗は、左ウイングバックではなく、左シャドーに入った。同じタイミングで小川航基に代わって上田綺世が1トップに入り、久保建英に代わって町野修斗が右シャドーを務めることになったが、この交代策が的中する。

 3人がピッチに登場した直後だった。後方からのボールを前田大然がフリックして前方へ流すと上田が相手ボランチのクエジャルに体をぶつけて収め、中村に落とす。中村は短くドリブルしてから右ウイングバックの堂安へ展開した。そして堂安のクロスに上田が飛び込み、ヘディングシュートを放った。

 ゴールこそならなかったが、直前までボリビアペースだった展開を、交代選手たちが一気に変えた。ここから日本が怒涛の攻めを開始する。

 相手を突き放すゴールが生まれたのは、71分だった。右CBの板倉滉のパスを右サイドで受けた堂安がボックス内にボールを送ると、タイミングよく飛び出した中村がポケットに入り込み、右からクロスを供給。相手DFに当たったボールをニアに飛び込んだ町野が押し込み、チーム2点目となるゴールを決めた。

「あれは、本当にシャドーならではの動き出しだった。ウイングバックだと、いつもパスを出す方に回るので、堂安選手がほんとにいいパスくれて、いいポケットを取れて、もうクロスはもう仲間に当てに行きました」

 町野の得点をアシストした中村はスペースに出した堂安のパスを称えたが、中村自身の動き出しがなければゴールもなかった。

 さらに78分には自らもネットを揺らしてみせる。左CBの瀬古歩夢の縦パスに抜け出した上田がボックス左に進入し、ゴール正面へパス。中村はボールを受けると、スキルフルなプレーでゴールを生み出した。

 左から来たボールを右足のインサイドでトラップし、すぐさま足裏を使ってゴールから遠ざかるようにボールを動かし、相手守備者のタイミングを外す。そしてすかさず右足を振り抜き、ゴールを射抜いた。

「前回もシャドーで出たのは10分足らずだと思うんですけど、なかなかボールを受けるシーンがなかった。今回は、よりゴールを意識してというのと、やっぱり近くに上田選手がいて収めてもらえるが大きかった。時間も作ってもらえたので、入ってすぐ前向きにプレーできたのはすごいよかったと思います」

 前線で起点となれる上田がいることで、中村のスキルの生きた。

「本当に最高のタイミングでボールもらえたので、上田選手に感謝したい。あのタイミングで受けた時は自分の形を持っている。自チームだったら去年のマルセイユ戦も同じ形」

 途中出場する際、森保監督からは「普段ウイングバックで出ているけど、今日はシャドーで出てもらうんで、よりゴールに近いと思うから、果敢に狙ってほしい」と言われたという。指揮官の求め通り、あるいはそれ以上に中村は働いた。

「もちろんみんなスタメンで出たい気持ちもあるし、レギュラー争いもあるけど、でもやっぱり途中出場した選手が試合を決めること、今日みたいに追加点だったり、そういうのがある。いかに途中出場した選手が試合を変えるかもすごく大事。最終予選、基本的にベンチにいたし、途中出場も多かったので、そこは意識していた。必ずしもスタメンで出ることがいいっていう風には思わないですし、自分に与えられた役割はあるから、そこはやるだけだなと思います」

 ベンチの座る選手が迷いなく全力を注げるチームは、強い。

「(次の代表活動まで)4か月ぐらいかな。自チーム(スタッド・ランス)に戻ってまた頑張るって感じになりますけど、他の代表選手に比べたらどうしてもリーグレベルは落ちちゃうので、流されないのが大事だと思う。違いを見せて結果を残し続けるっていうのが自チームでは必須かな」

 フランスリーグ2部でプレーする中村は、W杯まで個人として何を積み上げていきたいかを問われ、こう答えていた。

 確かに日常を過ごすリーグのレベルは高いに越したことはない。ただ、強い意志と圧倒的なスキルを持つ中村なら「流されない」はずだ。むしろ自身を鍛え、高めて、来年3月の代表活動に参加することができるだろう。


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