サッカー日本代表は14日に愛知・豊田スタジアムでガーナ代表と対戦し、2−0で勝利を収めた。4試合ぶりとなる無失点勝利に大きく貢献したのが、3バックの真ん中で守備陣を統率し、1対1の局面でもほぼ完璧にプレーした谷口彰悟だった。

上写真=攻守に素晴らしいパフォーマンスを披露した谷口彰悟(写真◎Getty Images)

セメンヨを完璧に封じ込む

 日本はガーナ戦で9月のメキシコ戦以来となるクリーンシートを実現した。その要因になったのが、3バックの安定感である。この日はブラジル戦と同じ顔ぶれだった。右から渡辺剛、谷口彰悟、鈴木淳之介のトリオ。とりわけ相手の最重要アタッカー、1トップのアントワヌ・セメンヨを抑え切った谷口の働きが光った。

「結果としてゼロで抑えられたのは非常に良かったし、相手の前線は結構強烈な個を持った選手たちでしたけど、バトルで負けないとか、プラスして組織力でも負けないってところは、90 分間を通してやり続けることができた。チームにとっても個人にとっても自信となるゲームだった」

 ハイプレスで積極的に奪いに行き、ロングボールを蹴られてもしっかり回収。そうかと思えば4−5−1でブロックを組み上げ、相手を引き込んで攻撃を封じ込めた。メリハリの効いた守備が、展開を優位にしたのは間違いない。

「(日本の)前線の選手が強度高くやってくれて、相手がロングボールを蹴らざるを得ない状況を作ってくれていたし、そこで後ろも頑張ってプッシュアップできた。時には数的同数とか一対一の局面もありましたけど、いい状態で(ボールを)受けさせないように前線の選手がプレッシャーをかけてくれたおかげで、こっちも先手取ってバトルができたので、そういった組織力でも上回れたのかなと思います」

 ラインコントロールは谷口の持ち味の一つだが、この日は完璧な仕事をしたと言っていい。さらに1トップのセメンヨとの1対1にもことごとく勝利し、途中でそのセメンヨとシャドーのブランドン・トーマスアサンテがポジションを入れ替えたほど。試合後、敵将オットー・アッド監督が谷口の名を挙げて称賛したのもうなづける。

 先制点の場面でも谷口のアプローチが始まりだった。相手の左センターバック、ジェローム・オポクがセメンヨに送った縦パスを、背後に張り付き、きっちり足を出してつついた。そのこぼれ球を佐野海舟が素早く回収。そこから日本はショートカウンターを発動し、南野拓実のゴールにつなげた。

「自分たちがプレッシャーをかけて、ボールをいい形で奪って、奪った後にどう攻撃につなげるかは、パラグアイ戦やブラジル戦の反省を生かせたなと。奪った瞬間に逆サイドの高い位置が空いているのはスカウティングでも言われてたので、そういうところをしっかり突けた」

 ビルドアップの局面でも谷口は短く運んで相手を引き付けた瞬間に、空いた味方にパスをつなぎ、ボールを前進させた。昨年11月に左足のアキレス腱を断絶し、日本代表には先月のブラジル戦で復帰したばかりだが、この日のパフォーマンスを見る限り、トップフォームに戻ったと言っていいだろう。

「もちろん自分でも感じています。所属チーム(シント=トロイデンVV)でしっかり試合を重ねられていますし、そこで上げてきている部分をまた代表で発揮できている実感はあります」

 日本代表のCBは故障者が相次ぎ、少し前まで不安要素と言われていた。だが、渡辺剛が台頭し、鈴木淳之介が頭角を現し、そして谷口が完全復活したことによって一転、競争の激しい充実のポジションになりつつある。

取材◎佐藤景


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