上写真=キャプテンとして初めてトロフィーリフトを体験した長友佑都(写真◎Getty Images)
一歩踏み出した感覚がある
日本はジャーメイン良が前半にスコアしたゴールを守り切り、1−0で勝利をつかんだ。終盤は韓国の猛攻を耐えしのぶ展開になったが、終盤には180センチ越えの選手を後ろに5人並べる現実策をとり、勝ちきってみせた。
相手が高さ勝負に出てきたこともあって、長友についぞ出番は訪れなかった。
「(ヘンリーが倒れた瞬間に)これは出番が来ると思ったんですけど、1分でも2分であっても、準備はできていたんで。出られなかったのは残念です。でも、このE-1で本当に自分自身も一歩踏み出した感覚があるし、まだまだ難しい戦い、厳しい戦いは続くんですけど、1歩踏み出せたとは感じているんで。これを、もっと2歩、3歩、中にこう入っていけるように、またJリーグに帰って頑張りたい」
今回の3試合で長友はプレーしたのは第2戦、中国戦のみ。3バックの左CBで先発し、カタール・ワールドカップのクロアチア戦以来、約2年7ヶ月ぶりに代表戦のピッチに立った。サイドバックが本職であるため、ポジショニングやプレー選択という点でぎこちなさが見られたのは確かだ。ただその一方で、守備の局面での1対1や空中戦では持ち間の強さと粘り強さを示した。
本人は言った。
「相当、やることは多いです。ウイングバックだけじゃないんでね。ウイングバックの左右、サイドバックの左右、あとは3バックの左右も含めて、東京でやらなきゃいけないことがいっぱいあるなと。伸ばしていかなきゃいけないとこが多いんで、もう時間が足らないぐらいですね」
ワールドカップに4度出場しているからこそ、選手のとしての価値を高めなければ、簡単にはたどり着く場所ではないと知っている。
「精度もそうですし、能力、本当に単純な能力を伸ばさないと、結局チームのプラスアルファになっていけない。チームの戦術とかそっちの方に甘えちゃダメですよね。まず、個で戦えないと、ワールドカップでは戦えないので。そこにやっぱり逃げることはよくないと思う。とにかく自分の能力を上げるとか、精度を上げるとか、そこに尽きると思っています」
今回のE-1選手権は初招集組が14人いて、代表経験が豊富な長友にかかる期待は大きかった。森保一監督もそんな長友に期待してチームキャプテンを任せたのだろう。最初の練習から積極的に声を出し、仲間を盛り立てた。優勝セレモニーでのトロフィーリフトは、チームを引っ張り続け、大会連覇に貢献したキャプテンに対するご褒美だったのかもしれない。
「キャプテンを実際に任されると、やっぱり違うプレッシャーも感じて、チームの結果が出ないと、責任をすごく感じるし、これだけ若い選手がいる中で、自分がキャプテンとしてまとめられないと、そういった部分も任されないと今後思っていたので。そういった部分で本当に1試合1試合、日に日にですね、チームが1つになって、一体感も含めて変わっていったのをすごい感じて、非常にいいチームになったなと。なんか、みんなと離れるのが寂しいくらい。
(トロフィーリフトは)初めてなんで、どうやって掲げようみたいなところもちょっと考えながら、まあ、あれでよかったのかはわからないですけど、後輩たちがついてきてくれたんで。とにかく特別で、人生の中でも特別で、格別な瞬間に出会わせてもらって、本当に感謝したいです」
次に特別な瞬間を味わえるのは、1年後。ワールドカップの舞台となる。
「カタール・ワールドカップのあと、また次のワールドカップ、5回目を目指すと決意した瞬間から気持ちは変わっていません。(代表で)出られない期間が、これだけ長く続きましたけど、それでも自分信じて、自分ならやれると思ってここまでやってきました。それが本当に今回、1試合しか出られなかったですけど、それでも自分の中では大きな1歩を踏み出せたと思っています。これから本当にワールドカップ優勝メンバーの一員となるために、そこから逆算して自分が何をすべきかを考えて行動していきたい。
(E-1で)自分の中で明確にワールドカップがまたイメージできた。自分がその場に入っていく、ワールドカップを戦ってるイメージがもう1つ明確に見えた感じがしているので。まだまだいっぱい、やること多いんですけど、でも行けるなと。自分なら行けるなという思いでいます」
長友は日本代表では初、つまりは前人未到となる5度目のワールドカップ出場をまっすぐに見据えた。
