上写真=田中聡は負傷明けで45分のプレーだったが、印象に残るプレーを披露した(写真◎Getty Images)
■2025年7月12日 E-1選手権(@龍仁)
日本 2-0 中国
得点:(日)細谷真大、望月ヘンリー海輝
「とりあえず足元に強いボールを」
「意外と緊張しなかった」
というのが、代表デビューの感想である。左のボランチを担当した田中聡が十分なインパクトを示した。
キックオフからチーム全体でネガティブトランジションの意識が高く、前線からのプレスが効いてボランチコンビの田中と宇野禅斗で回収するという好循環が続いた。
ハイライトはもちろん、11分の先制ゴールのシーンだ。
「結構、強引なパスというか、ゴールに直結するパスというか、とりあえず(細谷)真大に当てようと思ってパスを出したので、うまくあいつが決めてくれてラッキーです」
「真大がすごく要求していたので、とりあえず足元に強いボールをつけたら決めてくれたので」
決めた細谷をとにかく称えたが、自慢の左足でど真ん中を貫く鋭いパスを細谷の足元に送る判断と技術が秀逸。細谷は鮮やかにワンタッチで右前に出て、腰を入れて右足を振り、ゴール左にきれいに送り込んでみせた。
「ピッチ外のところで結構ずっと一緒にいてコミュニケーションを取れていて、常に狙ってくれって言われていたので、それが試合に出せたのでよかったです」
同じパリ・オリンピック世代の仲間としてのこれまでの経験が、ぶっつけ本番に近い今回のチームで武器になった。
もう一つ、今度は逆足でのチャンスメークも鮮やかだ。
44分、左寄りのエリアから右足でスルーパス、斜めに潜った佐藤龍之介に届けた。佐藤はGKに正対してから右足で狙ったものの、ブロックされた。ただ、佐藤のショートスプリントと、それを見逃さずにぴたりと届けた田中のパスは見事だった。
「リュウは常に自分がボールを持ったら動いてくれていたので、もっと出してやりたかったっていう感じです」
佐藤には35分にも左から横パスを送って20メートルほどのミドルシュートを引き出していて、好連係を印象付けた。
2カ月ぶりに負傷から復帰したばかりだったから、前半のみでお役御免となったが、「悪くなかった」という感覚を手にしたのは大きい。
「代表ではいままでアンダーの代表でもプレーはひどかったので、今日は割と記憶にある中では悪くなかったゲームかな」
「メンタル的にボールを呼び込もうという意識があったので」
「気持ちよくプレーできましたね」
そんなふうに、ポジティブな反応が次々と返ってきた。だが、それで満足であるわけはない。
「今日のパフォーマンスでは、まだまだ海外組の中には絶対に入っていけない。もっと圧倒的な違いを代表でもチームでも出していかないといけないと思ってます」
日本代表としてのスタートは上々。貴重な左利きのボランチとして、ここからのし上がる。
